脱色。

□想う心は誰よりも
1ページ/1ページ




彼に問うたことがある。何故死神になったのか。

最初は突然だった。家族が虚に襲われて、ルキアが死神の力を俺にくれたんだ。あのときルキアがいなけりゃ俺も死んでたかもしれねえ。だから、アイツにはすげえ感謝してる。そのお陰で今もこうやって、皆を護ることが出来るしな。

その答えには、彼が今も死神を続けてる理由もある。けど、彼が皆を全て護りきるなんてことはいくらなんでも不可能なのではないか。

そうだな。俺は神様ってわけじゃないから、全員が全員を護りきれるわけじゃない。だから俺はもっともっと強くなって、もっともっとたくさんの人を護りたいんだ。

そう話す君の瞳の中に宿る覚悟は、きっと私の想像を絶する痛みや辛さを乗り越えて決められたものなのだろうね。そこまでして彼が奮闘しても、世界は時々彼の敵になるんだから神様は公平じゃない。そうでしょう?もし公平だと言うならば彼はこんなに傷ついたりしない。彼が誰が為に戦うのなら、一体誰が彼を護るというのだ。

だったら、お前が俺を護ってくれよ。

茶化すようにおどけて言ってのけた彼に、任せてよ、そんじょそこらの不良くらいなら倒したげると言った。彼は笑いながら私の頭を撫でた。まるで幼稚園児にいいこいいこしてるみたいに。ふと、この笑顔は太陽のようだと思った。太陽はいつでも世界の為に廻る。私の世界の一護と同じだ。

さってと!何時までも学校にいるわけにもいかねえし、帰るか。

居残りめんどくさかったーと伸びをする彼の背中を見つめ、また彼に問うた。普通の高校生に戻りたいと思ったことはないのかと。

あー……小さい頃から幽霊見えてて、普通じゃなかったしな。頭の色もこんなんだし。きっと死神やってなくても普通じゃなかったと思う。第一、なんつーか…高校生の青春ってよくわかんねーし。

確かに言われてみればそうだ。私もそんなに青春を謳歌しているような人間ではない。いざ何が普通の高校生だと聞かれたら、何かは良くわからない。少なくとも彼よりは普通だと思うが。

何にせよ、俺は皆と一緒にいられればそれだけでいいんだ。…お前が隣にいて、皆が笑って暮らせればそれでいい。

そこまで人を思いやれる彼は素晴らしい。どうしたらこうも真っ直ぐでいられるのか不思議だ。私はこんな素敵な彼を持てて幸せ者なんじゃないか。一護、と呼び掛けると案の定此方を振り向いた。

ん?

彼の唇に私のそれが触れた。驚いて顔を真っ赤にしている彼は可愛くて仕方が無い。よし、じゃ青春その一の恋愛はクリアだ!と私の中では多分最高の笑顔でからかってやった。彼はその二もあんのか、と赤みの取れてない顔で呟いた。その二は友情、だから金あるときに奢ってやるよ!と豪気に胸を叩いてみせた。

期待してる。

太陽がまた、笑う。



願わくば 彼に平穏な時間が多く流れますように


これがわたしのせめてものねがいです。


届け 届け 小さな祈り

想う心は誰よりも

(そして、も少し後で誕生日おめでとう!と手を握ってやろうと思います)


20080724.一万打記念フリー夢。でした!

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]