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□ホシに願いを
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「雷輝は何を書いたんです?」
「オレ?『お宝いっぱい!』
「それ……どんだけですか………」
「フッヒナ姉…なかなかやるやないか」
「だって、まだまだお願いいっぱいあるんだもんッ!」


馬鹿騒ぎに混じっている日向をじっと見ていた。

笑っている彼女は、本当に楽しそうで…
心からこの時間を楽しんでいるのが見てとれた。
こんな彼女をもう手放したくないと思った。

手放したくない

今まで何度そう思っただろう…
自然と皮肉めいた笑みが零れた。
自嘲してから何か思い立った様にペンを取り、目の前の短冊に文字を綴った。
先程まで全然手が動かなかった人物とは思えない程自然と手が動いていった。


「なに書いてるの?」
「っ!?」


ふいに後ろから声を掛けられ、慌てて書いたそれを隠した。


「隠したのサクの短冊でしょ?なに書いたの?」
「な…なんでもない」
「いーでしょ?見せて?」
「私のより、日向は何を書いたんだ?」


上手く話を逸らして日向自身の事を尋ねてみる。
すると彼女は違和感もなにも持たずに普通に話し出す。


「んーと。『背が伸びますように』と『お腹一杯食べられますように』と『いっぱいぬいぐるみが買えますように』とあと、えっとー」
「いや…もういい、よくわかった……」


なんともいえないしょうもない願い事に咲夜は皮肉を発してしまう前に止めておいた。
日向にとっては一応全部真剣なものなのだが…どうも彼にとっては馬鹿馬鹿しい話に過ぎない。
まあそんな彼女の可愛い天然なところも全てひっくるめて好きということになるのだが。
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