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□恋愛マニュアル
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「任務?」

「あぁ」


セフィロスと廊下を歩きながら。
突然入った久々の仕事に、ザックスは首を傾げた。






− 恋愛マニュアル −








天気は、晴れ。

ミッドガルから近い、海に面した港町。
ガリアシティ。

街の中心部に位置するショッピングモールは、平日にも関わらず、たくさんのカップルや親子連れで賑わっていた。

公園広場の噴水をスタートし、海を眺めながらお店を回るデートの定番コースは、買い物をする仲むつまじい恋人達が寄り添い歩く。


そんな中。
ひときわ人目を引いたのは、ある一組の若いカップル。






「任務、だろ?コレ」

「あぁ。指令書を読まなかったのか?」

「読んで、此処に来て、納得いかないから聞いてるんだ」



早足で煉瓦道を歩きながら、会話をする男女。
話の内容が他には聞こえないように気をつけているから分からないが、小さな声で取り交わされているのは、口喧嘩だ。

会話だけ聞いていれば一触即発(一方的)な雰囲気のカップルは、周囲の目など気にすることもなく2人の世界を作っていた。

それが甘いかどうかはこの際関係無い。




「雑誌の取材のはずだろ?」

「そうだ」



カツ、とミュールが音を立てる。
彼等に目を奪われていた人々は、慌てて2人から視線を逸らした。
黒い髪の彼女のほうが、不機嫌そうに彼氏を睨みつけていた。






「だったら、なんで俺が女装しなきゃならないんだよ馬鹿セフィロス!」






長い黒髪を靡かせた彼女−…ザックス−は、銀の髪を束ねた世界の英雄に詰め寄った。






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