恋なんて愛なんて。編
□本物の恋はどれだろう
1ページ/7ページ
Humpty Dumpty sat on a wall,
Humpty Dumpty had a great fall.
All the king's horses,
And all the king's men,
Couldn't put Humpty together again.
【本物の恋はどれだろう】
蝉の声が、夏の暑さを煽る様に響き渡る。
終業式兼、夏休み初日である本日から…
神奈川4強、合同合宿の始まり。
「あっちー!まだかよっつ!?;」
「やめてよ三井さん…余計暑く感じるでしょ;」
「陵南も終業式は終わってるでしょうし、もうすぐ来ますよ三井さん。だから大人しくしてて下さいね」
「ほら彩ちゃんもこー言ってるし!ウロウロしねーで座ってて下さいよ;」
合宿地は、神奈川県内のとある旅館。
練習にはその旅館の近くにある小学校の体育館を使用させて貰う事になっているとか。
その旅館への移動手段なのだが…
海南、翔陽、陵南は各々部専用のバスや学校所有のバスがあり、それで向かう事になっていて。
それが出来ない湘北は、距離的に一番近い陵南に迎えに来て貰いご一緒させて貰う事になっているのだ。
…で、現在そのお迎えを待っている、と。
「露店風呂もあるんだよねっ、志緒ちゃん一緒に入ろーねっ!」
「あら、あたしは一緒に入っちゃダメだって言うのー?晴子ちゃん?」
「そっそんな事ないですよぅ!勿論彩子さんも一緒です!」
「晴子ってベタに石鹸踏んでコケそう」
「やだ言えてるっ!」
「もーっ!志緒ちゃんも彩子さんも酷いーっ!」
女性陣のこの会話…勿論周りの男性陣が聞き耳をたてない訳がない。
妄想して鼻を押さえる者が多数続出。
ところで何故、マネージャーではない晴子がここに居るかと言うと、
他校には女マネが居ないのでお手伝いで付き添う事になったから。
海南にしろ翔陽、陵南にしろ、マネージャー志願する女の子は星の数程居るのだが…それらは皆部員目宛の子なもんで。
マネージャーとして使える様な人材ではないのだ。
むしろマネージャーにしても邪魔…もしくは他の女生徒からのブーイングが凄まじく。
どれだけ欲しくても女マネなんか入れられない。
そんな訳で、湘北美人&敏腕マネージャー二人+晴子が他校も面倒を見る事になっている。
4校の部員達にとっては、これから5日間男だらけのむっさい合宿の中…彼女等はかなりの癒しになる事だろう。
「おっ、来たか…」
校舎内に入って来たブルーのバス。中には田岡監督と部員が乗っている筈。
ちなみに、どの学校もベンチ入りの12名しか合宿には参加出来ない事になっている(つまり湘北は全員)