恋なんて愛なんて。編

□マジカルバナナ
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例えば、連想するモノ。


花道と言えば?と聞かれたなら、答えは
赤・バカ・天才・桜木軍団・晴子ちゃん・バスケ…
他にも沢山あって、どれが一番なのかなんて決めがたい。



だけど、志緒ちゃんと言えば?と聞かれたなら。

俺はきっと即答で「花道」と答えるんだ。






【マジカルバナナ】






合宿初日。
短い時間だったけど、四校揃っての練習はなかなかに充実してた。

人数が多いだけに一人分の練習時間は合計してもそれほどじゃなくて。
でもその短い時間は、喩えるなら濃厚。集中力も増して成果はあったと思う。



そんな初日の練習を終えて四校の内一校だけが片付けに残って、他は宿に戻って来て風呂。

湘北が一番風呂を貰ったもんだから、はしゃいでバカやって、軽くのぼせて。
俺は一人で庭園みてーな綺麗な庭で夕涼み(他の奴等は大広間で飯はまだかと待ち侘びてんだろう。四校揃わねーと食えやしねーのに)




もう陽も沈んで、それでもまだ涼しいなんて言えないから団扇片手にパタパタやって。
一人考えに耽ってみちゃうのは、だってしょーがない。


恋多き男だと自覚ぐらいしてる。
今まで何度だってフラれて来たんだ(花道にゃ及ばねーけど)


けどさぁ志緒ちゃん、
納得なんてできねーよ?






「…宮城?」

「え?なんだ藤真さんか」

「なんだとはなんだ。誰か待ってんの?」

「ただの夕涼みっすよ」

「じゃ、お邪魔」




言うが早いか。
藤真さんはドカリと俺の隣りに腰を降ろした。

別にいーですけど、なんか一言「隣りいいか?」とか聞きません?普通。
うん。アンタのそーゆートコ、好きですよホント。




「あー…ここにビールの一杯でもあれば最高なんだけどなー」

「藤真さん意外と親父っすね」

「何言ってんだ。旅館・風呂上がりとくりゃビールだろ?キンキンに冷えた。」

「まぁ否定はしませんけど」




呆れた顔を作って言えば、気にした風もなく「だろ?」なんてニカッと笑う。

見た目とも王子なんて評判とも掛け離れた、さっぱりした男前。
好ましい性格だ。

この人は恋敵なんだけど。




「……ねぇ藤真さん?」

「なんだ?」

「マジカルバナナしましょっか」

「はぁ?」

「知ってるでしょ?バナナと言ったら黄色ーってヤツ。」

「知ってるけど」

「じゃー早速。マージーカールーバナナ、」

「…」





「志緒ちゃんと言ったら?」





「さーくらぎ」





ノリよく答えてくれたソレは、俺が考えていた答えと同じで。

きっとソレは、志緒ちゃんと花道を知った奴なら、誰もが答えるだろうもので。


藤真さんは、俺の意図する所を理解した様に苦笑した。



 
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