恋なんて愛なんて。編
□未定
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キミが好き 僕の生きる全てじゃない―――なんてそんな歌詞の歌があったなと思い出す。
好きだなんてたったそれだけならきっと、俺は何度だって言葉にしただろうたとえ見向きもされなくても。
でも出来ないのは俺とお前との間には、いつだって掛け替えのない存在があったから。
失えない存在が、あったから。
【】
長々とニコチンを摂取したい所だったが、体育館を立ち去る前に見た花道の目が心配げに落ちていたのを、志緒が忘れるはずもなかった。
洋平がいつもの調子を取り戻しているのを確認して、立ち上がる。
洋平も一歩遅れてそれに続いて、二人してまだ半分も吸ってない煙草を消した。
「よーへー!」
体育館に戻ればすぐさま花道が二人のもとへ駆けてきて、洋平の顔をみて満面の笑みを見せる。
そんな花道に、隣の志緒に、まったくと洋平は思った。
まったくなんだってこの二人はこんなにこんななんだろう。
嬉しくって笑えた。でもほんとはもうとっくに笑ってた。
「おっせーぞ馬鹿者。スッキリした顔しやがって!」
「わりーね。重大な悩みにぶち当たっててよ」
「ふぬ?」
「今度、聞いてくれっか?花道」
そう言われて、花道は嬉しそうな笑顔を見せた。―――それは、瞬間的に引っ込められたけれど。
なんだろう。と花道は思う。
洋平が自分の悩みとやらを打ち明けてくれるのは嬉しい。だけど。
だけれど本当に………ソレダケ?
ぶわりと広がった疑問と不安。曖昧なそれらはきっとこの目の前の洋平の笑顔から感じ取ったもの。
いつもと変わらぬ優しい笑みの筈なのに。
なんだか、いけない何かを吹っ切った様な――。
―――――ぞくりとしたのは、何故だろう。