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□七夕の話
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それは夕食後のバッツの一言から始まった。
 
 
 
 
「そういえば…」
 
夜空を見上げつつ呟かれた声にジタンが反応した。
 
「? どうしたんだ、バッツ」
 
「いやな? 何処かの国でこの時期にやる風習に、
 願い事を紙に書いて吊るすって言う風習があったのを
 思い出したんだ」
 
バッツは、河のように見える星空を指差しながら続ける。
 
「何でも働き者だったけど結婚した後、まったく仕事をしなくなった二人を
 遺憾に思った神さんが、二人を河を挟んで両岸に離ればなれにして、
 年に一回だけ会うことを許したとかいう話。
 その日にちなんで、紙に書いて吊るすと願いが叶うって、
 言い伝えがあるらしいぞ」
 
丁度星の河が真上に、星を結んで大きい三角形ができる位置にくる頃とか
聞いたなぁ。と話すバッツに、ジタンは、へぇ〜。と珍しげに呟いた。
 
その話を影から聞いている者の気配に、二人は気づかなかった。
 
 
 
 
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