真 ・ 三 國 無 双 シ リ ー ズ
□ねこみみ騒動の巻
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朝起きたら頭に耳が生えていた。
尻尾もある。
「……」
陸遜は悩んだ。
悩んだ末に、孫策に相談する事にした。
−孫策の執務室−
そこでは周瑜と孫策が慌ただしく書類の整理をしていた。
「……伯符様」
戸の方に陸遜がマント姿で帽子を押さえながら立っていた。
「どうした、何かあったのか?」
陸遜の表情を見て、心配そうに見つめる孫策。
周瑜も心配そうに見つめる。
「……実は」
陸遜は中に入り扉を閉めると、おそるおそる帽子を取った。
室内に衝撃が走る。
ぴょこんっと通常ならあるはずのない物が陸遜の頭に付いていた。
「……なんだ、それは」
二人とも呆気にとられたように目が点になっている。
「朝起きたら生えていたんです・・・」
たしかに昨日寝る前までは生えていなかった。
「なにか悪いものでも食べたのではないか?」
周瑜が首を傾げながら呟く。
・・・・・・・・・・・
陸遜が孫策の方を見ると、孫策はふぃっと視線を逸らした。
「そういえば…昨日寝る前に、よく眠れるからとめったに手に入らないらしいお酒を伯符様に頂きましたが…」
孫策は目を逸らしたまま、話を聞いていた。
「……孫策、何処に行く?」
そろりそろりと、戸の方に移動していた孫策を周瑜が呼び止めた。
びくっ、と背筋を伸ばすと顔をこちらに向ける。
「いやぁ…まさか本当に効くとは思わなかったんだよ」
頭をポリポリと掻きながら困った顔で陸遜を見つめる。
「耳…だけなのか?…他に変なところは?」
周瑜が聞くと…、泣きそうな顔で答えた。
「耳だけじゃなくて、しっぽもなんです…」
マントを脱ぐと、腰の辺りに猫のようなしっぽが現れた。
「そ〜ん〜さ〜くぅ〜」
周瑜が髪の毛を逆立たせて問う。
「すっ…すまん!つい出来心で…」
手を合わせて謝る孫策に、本気で怒る周瑜。
「出来心では済まされんぞ!我が軍の軍師がネコ耳しっぽ付きだと知られたらどうするつもりだ!」
それを聞いた陸遜が、涙目で呟く。
「周瑜様…ネコ耳はお嫌いですか?」
耳をびくびくさせながら機嫌を窺うように見上げてくる陸遜に、周瑜はうっ、とたじろいだ。
「そういうわけではないが…」
口を濁しながら、うろたえる周瑜をニヤニヤと孫策は見ていた。
「お前も嫌いじゃないだろう?見てみたいと思ってたくせに…」
言い返せない周瑜に陸遜はキョトンとしている。
「嫌い…って訳じゃないんですね?」
陸遜が安堵のため息をついた。
「嫌いとかそういうのではなくて、他国からの目が気になるのだ…」
ハァ…ッと深いため息をつくと、孫策の方に振り向く。
「ただでさえ愛くるしいのに…」
陸遜を抱き寄せると、頭をなでなでする。
それを見た孫策は二人を引き剥がそうとする。
「だぁぁぁぁぁぁっ!それ以上くっつくな!!」
孫策は嫉妬心むき出しで、叫ぶ。
「孫策、一人じめはいかんぞ。私だって可愛がりたいのを我慢しているのだ」
周瑜が真剣な顔で孫策に言う。
「この私でさえ悩殺されるだから、他国の者にさらわれでもしたらどうするのだ?」
周瑜の忠告に、やっと事の重大さがわかった。
だが、その間もずっと陸遜の頭を撫でている周瑜に孫策が呆れた。
「……周瑜、いい加減陸遜を放してくれ。…頼むから」
「嫌だ」
即答だった。
周瑜は孫策を煽るように、陸遜の首筋をすすーっと撫でた。
「あっ……周…瑜…さ…あっ!」
陸遜の性感帯を刺激したのか、甲高い声が出た。
とろんと潤ませた瞳を周瑜に向ける。
「……やめて…下さい…、周…瑜…さまぁ…」
その仕草にクラクラしつつも、孫策にとある提案をしてきた。
一時的に陸遜を放すと、孫策とひそひそ話しをはじめた。
陸遜には聞こえない声で話しているので何を話しているのか分からない。
やがて、話し終えた二人が意味深な顔で陸遜を見つめると、彼の背筋に悪寒が走った。
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