真 ・ 三 國 無 双 シ リ ー ズ

□怪しげな薬
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「………。動かないで下さい…」

傷口が薬で滲みるたび身体をびくつかせる孫策に、陸遜がたしなめた。

「痛いのは分かります…でもちゃんと消毒しておかないと、後が大変ですよ!」

小さい子供を叱る母親のように『めっ!』と指を立てている。

周瑜に渡された南蛮渡来の『秘伝!良苦気苦ー婁(よくきくーる)』という怪しげな薬のおかげか、
傷口がみるみるふさがっていく。

「小さな傷でもちゃんと手当てしておかないと、化膿して大変な事になるんですから気をつけてくださいね!」

怪我をするたび心臓をdQまれる思いでいる陸遜は、唇を噛み締める。

涙で濡れた瞳に見上げられ、孫策はたじろいだ。

うろたえるようにまわりを見渡す。

ふいと寝台の側にある鏡台の上の薬のビンを手に取り、ラベルに目をやる。

『擦傷・切傷・火傷、打ち身にも効果があり、舐めても害はありません』

…なんて怪しい薬だ…。わざわざ書かなくても…

たいていの漢方は口にしても害はない。

不審な思いで注意書きを読んでいると、

『体内の箇所にもお使いいただけます』

にやりと、口が笑った。

「分かった…ところで陸遜、ココの手当てはちゃんとしたのか?」

自分の胸元に抱き寄せると、陸遜の尻を撫でながら聞いた。

「!!!!!!」

びくっと身体を震わせると、顔を真っ赤にして孫策を睨んだ。

「…まだ…ですけど?」

フシンな目で見ていると、孫策がビンの中の液体を指ですくい、にやけながら言った。

「昨日周瑜と二人でヤり過ぎちまったからな…。俺が手当てしてやるよ…下を脱ぎな」

陸遜が動揺していると、じれたのかもう片方の手で腰紐を解く。

「やっ…伯符様…何を…」

下衣を下げられそうになり、慌てて服を押さえる。

「恥ずかしがらなくても…知らない仲じゃあねえだろう?」

孫策が楽しそうに言う。

「大丈夫だ…俺の傷口もちゃんと塞がったんだから、擦傷くらいならすぐ治るだろう」

「…じょ…冗談ですよね?」

「…冗談を言っているように見えるか?」

「………ううっ、見えません…」

怯える陸遜に対し、孫策は最後まで楽しそうだった。



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