真 ・ 三 國 無 双 シ リ ー ズ
□夜明けまでの時間
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夜、・・・と言ってもあと数刻で夜が明けるという時間にふと人の気配に目が覚めた。
もう慣れ親しんでしまったぬくもりだ。
「また・・・か」
ふぅ・・・と嬉しいのにため息が出る。
昨日も同じような時刻に訪れたらしく、翌朝驚いてしまった。
久しぶりに一人で眠ったと思っていたのに、隣で眠っている人がいたから。
驚かせてくれた本人は今朝と同じように熟睡中。
「・・・こんな時間に来なくとも、もっと早い時間に来てもいいのに・・・」
一昨日までの疲れがどっと出ているのか、今日も眠れそうなのはありがたいのだが・・・。
「たまには何もしないで寝るだけ・・・というのもいいのかもしれませんね」
気付かれないようにそっと元の位置に戻って目を閉じた。
恋人・・・というか閨をともに過ごしている相手の寝台に忍び込んで数刻。
うとうとと深い眠りに誘われそうになっていたとき、起き上がる気配がした。
こちらは眠っていると思っているのか、起こさないように・・・と音を立てないように静かに。
しんと静まり返っている部屋の中でも、相手の呟いた言葉は小さすぎて聞こえないが
ため息は聞こえた。
一昨日まで休暇を取っていたので無理をさせたせいか、酷く眠たそうだったのを覚えている。
今日くらいまでは側で眠るだけでもいいだろうと、必死に理性を保たせる。
相手がこちらを気遣いながら元の位置に戻って再び眠りに入ったようだ。
すっ・・・と腕を延ばして相手を抱き寄せる。
我慢、我慢〜と言い聞かせても相手の甘い香りの誘惑に負けそうになる。
いたずらな右手がすー・・・っと下に下がるのを抑えつつ、朝が大変だな・・・と思うのだった。
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窓から差し込んでくる朝日が眩しくて、目が覚めた。
隣の人はまだ熟睡中・・・かな?
「おはよう」
顔を覗き込んだ瞬間、閉じられていた眼が開いた。
「起きていたんですか?」
「ついさっきな・・・おかげでいいものが見れた」
にやりと笑う。
「いつもおまえの方が先に起きてるからな・・・」
「・・・・何を見ていたんです?」
怪訝な目で見ながら問う。
「おまえの寝顔・・・可愛かったぜぇ〜」
瞬間顔がボンッと赤くなった気がした。
「頬をつついたらいやいやするとこなんか、襲いたくなるくらい可愛かったぞ」
きっとみみまで真っ赤に違いない。
「なぁ・・・陸遜」
孫策が真っ赤になっている耳元に顔を寄せてくる。
「俺、我慢できねーんだけど・・・・いいか?」
「!!!!」
きっと全身真っ赤だ・・・・
「・・・沈黙は肯定と取るぞ」
「・・・手加減してくださいね」
真っ赤な顔のまま顔を隠すように孫策の首に抱きついた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・努力はしてみる」
長い沈黙が気になるけれど、信用してみようと思った。
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