聖 剣 L O M
□真珠姫を探して
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「レイチェル〜、遊びに来たよ〜♪」
フレイアは、『アマンダ&パロット亭』の扉を勢いよく開けた。
「もう少しで終わるから・・・座って待っていて」
レイチェルは、フレイアを奥の方のテーブルに案内すると、厨房の方へと入っていった。
今日はレイチェルのバイトが早く終わると言う事で、お茶でもしようとフレイアが誘いに来たのだった。
「はい」
「あ、ありがとう、レイチェル」
テーブルに置かれたティーセットに、お茶請けにクッキー。
「あれ?私、飲み物しか頼んでないよ?」
「コレは私のオゴリ」
レイチェルはにっこりと笑うとまた、厨房へと入っていった。
数分後・・・・・
「お待たせ」
「早かったわね」
「今日はお客さんも少ないし、もう帰って良いよって」
「そう」
夕方にはまだ時間が早い。
今日は早番だったから、とレイチェルはフレイアと向かい合わせに座った。
たわいもない話をしていたら、あっという間に夕方になっていた。
「そろそろ・・・帰るね。・・・・・・・お父さんがうるさいの」
「そう、じゃ、またね」
フレイアとレイチェルは、店を出ようとした。
「おい、アンタ」
「・・・・・・・・・・」
「おい!」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「聞こえないのか?!」
「聞こえているわよ?」
フレイアは声のするほうに振り向くと、案の定瑠璃が立っていた。
「さっきから呼んでいたのに、何で返事をしなかったんだ?」
「あんな『おい』だの『アンタ』だのだけじゃ誰に言っているのかも分からなかったし、
第一、私は『おい』でも『アンタ』でもないんだからね?名前、教えたはずでしょう?」
「だからって・・・・」
「喧嘩売ってきているのかと思っちゃったじゃない」
・・・・・・・・・
沈黙が周辺に漂った。
「・・・・フレイア、私、行くね?」
「あぁ、ごめんね、引き止めちゃって」
フレイアはレイチェルに向かって申し訳なさそうに謝った。
「・・・・俺への態度とは幾分か違うようだが」
「レイチェルと瑠璃は違うじゃない」
「・・・・・・・納得いかん」
瑠璃はむすーっとしていたが、はっと我に戻り慌てた様子で聞いてきた。
「こんなことしている場合じゃない!・・・・フレイア、真珠を見なかったか?」
「真珠姫?見てないけれど・・・・・また迷子になったの?」
瑠璃はこくんと頷いた。
「少し目を放した隙にいなくなっていたんだ・・・・」
「はぁ・・・・・・いいわ。一緒に探してあげる」
「・・・・すまない」
「貸し、1回ね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「行きそうなところ、分かる?」
なにやら難しそうな顔をした瑠璃にフレイアは聞いてみる。
「いや・・・・・考え事をしているなら何処に行くかは検討もつかない」
「んじゃ、とりあえず貴方たちの仲間のいそうなところから探しましょう」
「そうだな」
フレイアは瑠璃と一緒にドミナの町を後にした。
― 終わり ―
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