聖 剣 L O M

□希望の炎
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ポルポタでの騒動の後、私達は断崖の町ガトまで足を伸ばした。





断崖絶壁の場所にある、断崖の町ガト。

ここには古くから続く癒しの寺院がある。その始まりはこのファ・ディールでも最も古く、かの妖精戦争よりも昔から続いていると
いわれている由緒正しい寺院である。

修行僧の修行場としても持って来いなこの場所は、古くからマナのパワースポットとしても有名で、各地から様々な者達がやってくる。

もしかしたら・・・・という期待を持ち、フレイアと瑠璃はこの地を踏んだ。

「・・・・・わー・・・本当に断崖絶壁なんだね。傾斜が普通じゃありえないよ」

「・・・・・修行の場なんだからそういうものなんじゃないのか?」

「んー・・・そういうもんなのかしら?」

「とにかく、真珠の気配はしないが、微かに煌めきを感じるんだ。仲間がいるのかもしれない。町へ行ってみよう」

神妙な瑠璃の表情に、考え込んでいたフレイアも冷静になり頷く。

「そだね。探してみるに越した事はないしね」

「ああ」







希望の炎







フレイア達が寺院への途中にある門前町に通りかかった時、目の前を行く草人がいきなり蹲った。

「?? もし、どうされました?」

それに気付いた街の修道女が草人に声をかけている。

草人は苦しそうに呟く。

「おなかが・・・・痛いの・・・・・」

まあどうしましょうという表情を浮かべ周りを見回す修道女がフレイアに目を向ける。

「ああ、ちょうど良かった。すこし手を貸してくださいますか? この方が苦しそうなのです」

いかに草人とて修道女1人では支えきれるものではない。フレイアは瑠璃にすまなそうに謝る。

「ごめん。私ちょっと手伝ってくるよ。・・・・ああいうの放っておけなくてさ」

すまなそうに笑うフレイアを見て瑠璃は溜息を吐いた。

「・・・・しょうがないな。オレも手伝う」

「え? いいの?」

「2人より3人のほうが早く終るだろう?」

「あ、そうだね」

草人を支える修道女について一緒に支える。

「とりあえず、そこのお店で少し休ませていただきましょう。さ、頑張って歩いて」

草人を支えつつ歩きだし、もう少しで店、という所まで来たとき。

「う、うっ・・・・もうダメ・・・・ 誰かなんとかして〜〜!!」

我慢できない! といった感じにいきなり走り出して寺院への道のほうへといってしまった。

「・・・・大丈夫かしら? 草人もこの険しい山道に、疲れてしまったかしらね・・・」

「そうかもしれませんね。・・・じゃあ、私はこれで」

「ああ、ありがとうございました」

フレイアは修道女と別れると近くの店へと入っていった。




そこは武器屋のようで、様々な種類の道具が売られていた。

こういう店には旅をしている者が多く来るので、情報収集には持って来いだからだ。

丁度、一休みしたかった事もあったのでゆっくりと店内を回る。

瑠璃は武器の方を見定めているようだったので、フレイアは人物観察をしていた。

客はフレイア達の他に1人、眼鏡をかけた青年だけ。なにやらぶつぶつと呟きながら宝石を見ている。どうやら鑑定をしているようだった。

あまりに注目してしまった所為だろうか、青年がフレイアの方に向いた。

「何か御用ですか? ・・・あ、もしかして宝石をお求めに?」

「え? いえ、違いますよ。ただ何していらっしゃるのかなって・・・」

「貴女はお目が高いですね。こんなクズ石、何の値打ちもありませんから。・・・ああ、紹介が遅れました。
 私はアレックスと申します。魔法都市ジオで宝石店を営んでいます」

「ああ、だから宝石の鑑定を?」

「ええ。この町にも買い付けに来たんです。でも、最近は良い物がなくて・・・・」

「私はフレイアといいます。こちらこそ紹介が遅れてごめんなさい」

「いえいえ、お互い様ですよ。フレイアさん・・・・ですか。ジオにお立ち寄りの際は是非寄って下さい」

にっこりと人当たりの良い笑みで話すアレックスに、フレイアも微笑んだ。

他愛のない話をした後、武器の品定めが終ったのだろう瑠璃と共にフレイアは店を後にした。





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