D Q IV
□勇者と魔王の出会い
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魔物の住まう島にある城、デスパレス。
この城の主は、銀の髪に柘榴の瞳の魔王。
名をデスピサロという。
彼は今、人里離れた山奥を彷徨っていた。
「…このあたりのはずだが……」
辺りを見回してもうっそうと茂る木や草に阻まれて、民家などは見えなかった。
しかし、ピサロにはこの先に村があることがわかっていた。
「……これは…。人間どもめ、小ざかしい真似を」
ピサロの手に握られていたのは水晶で出来た数珠球のようだった。
手のひらに握り締め、それが砕け散ると先ほどまでは無かった道が現れた。
「旅の詩人が迷い込んだって?」
「なんだって、こんな山奥まで…」
アレクは村の人たちの話を、聞いて興味心身に大人たちの間に入った。
「旅の詩人?外から来た人なの?」
「やあ、アレク。そうなんだ。なんでも道に迷ったとかで」
「その人、今晩村に泊まるの?」
「ああ、宿屋の親父が珍しく張り切っていたぞ」
瞳をらんらんと輝かせて聞いてくるアレクに、話をしていた大人たちも答えずにはいられなかった様だ。
「アレク、何か用事があったんじゃないのか?」
「あ、そだ。父さんを呼びに行くんだった。じゃ!」
「気をつけろよ〜」
アレクは旅の詩人のことに思考を奪われつつも、父親がいるはずの池へと急いだ。
先に帰っていなさい、との父親の言葉に、アレクは嬉々揚々として旅の詩人が居るという宿屋へ向かった。
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