D Q IV

□戸惑い
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……ど、どうしよう……

アレクは戸惑っていた。










昨夜の失態?の後、自分のベッドではなくピサロのベッドで寝てしまったこと、しかもピサロに抱き締められながら心地よいと感じてしまった事に対してだ。

本来なら故郷の村を滅ぼした男。

宿敵のはずの魔王。

すべてを裏で操っていたエビルプリーストを討つために一緒に旅をしていなければ合まみえることなどなったはずの男。

デスパレスではこちらは変化していたし、ロザリーとともにおもむいた時は、進化の秘宝で異形化していて今の面影もなく、ただ人間を滅ぼす事しか頭になかったようだ。

行動を共にするようになって数日。

まだ胸のもやもやがとれていなかったアレクに、今朝方の出来事は衝撃だったのである。

あの後、ピサロは何事もなかったかのように身仕度を整え、部屋を出ていった。

アレクは悶々としながら、ピサロの出ていった扉を見つめていた。







『昨晩は楽しませてもらった』

…って、僕何かしたのか?!

ただ一緒に眠っただけだよね?(汗)

ああああ〜、聞きたいけど聞けないよぅ〜(泣)






いったい、何に対して『楽しませてもらった』なのか、アレクはピサロに問いたかったが、羞恥心が勝ってしまい、枕に顔を埋めた。











一方、先に下へおりてきたピサロは…。





「あ、ピサロ様、おはようございます」

すでに朝食をとっていたロザリーがピサロを見つけ、声をかけた。

「ああ、おはよう」

「みなさん、まだのようですよ。昨夜、かなり遅くまで飲んでらした様ですので」

「ロザリーも遅くまで飲んでいたのか?」

自分達より後に部屋に戻ったはずだ。

「ええ。久々にでしたので少々心配でしたが、まったく酔いませんでしたので」

にっこり顔のロザリーに唖然としつつも、ピサロはポーカーフェイスを崩さなかった。


そういえばアドンから聞いていた…


ピサロは以前、ピサロナイトよりロザリーの報告でそのようなことがあったと聞いたことを思い出した。







「…何かよいことでもあったのですか?」

「……なぜそう思う?」

ロザリーはにっこりと笑った。

「だって、下りていらしてからずっと微笑んでおられますよ?」

ピサロは呆気にとられた。

「雰囲気もいつもと違いますし」

ロザリーはくすりと笑った。

「そんなにわかりやすかったか?」

「ええ、とっても」

その言葉にピサロはフッと笑った。






















〜おまけ〜


アレクが寝返りを打とうとするほんの少し前。

ピサロは懐に感じたぬくもりに目が覚めた。

寝所をともにする相手はいたが、事がおわるとすぐに追い出したり、事の最中に襲われたりとあまり心地のよい事がなかったためか、同じ部屋にいるだけで深い眠りには付けないと言うのに。

ピサロは久々に熟睡していた。

そして、昨晩は同室の彼と同じベッドで眠りについたのだ。

寝起きでぼんやりしていたが、頭がすっきりしてくると今の状態が心地いいことに気が付いた。


天空の勇者。

本来なら敵対しているはずの者を腕に抱いて心地がいいとは…。


ピサロは自嘲気味に微笑んだ。


アレクが目を覚ますまでもう少し…。







− 終わり −


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