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□苺の話
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「わっ・・・・どうしたんだ、これ」
フリオニールは目の前にある籠いっぱいの苺に思わず歓声を上げた。
「森の中でたまちゃんと見つけたの。食べられそうだったからいっぱい採ってきちゃった」
籠の中の苺を嬉しそうに見るティナに、フリオニールも微笑んだ。
「じゃあ、夕飯の後にでも頂こうか。小粒のはジャムにでもしておけば保存も利くしな」
「わぁ・・・楽しみ!」
ぱああっと微笑むティナとそれを見て、少し照れながらも苦笑するフリオニール。
そんなほのぼのとした時間が過ぎていった。
そして夕食時。
フリオニールは食事とは別に昼間ティナとオニオンが採ってきた苺を籠ごと持ってきた。
水でさっと洗われたそれは、みずみずしく光っている。
「ティナとオニオンが見つけたらしい。せっかくだから食べないか?」
「苺だ!」
「お〜。めずらしーな」
ティーダとバッツが早速、フリオニールの元へとやってきた。
「あ〜でも、俺、練乳かかってるやつも好きなんだよなぁ・・・・」
じーっとフリオニールを見るティーダに、フリオニールはしょうがないな、とでもいう風に食料を入れてある荷物から
缶詰を取り出した。
「買出しした時に安かったから、買っておいたんだが・・・・使うか?」
「うんっ!」
ティーダの目がキラキラと輝いた。
フリオニールがいざ缶切りで開けようとしたその時。
「あっ・・・・」
手元が滑って手と頬に練乳が飛び散ってしまった。
「あ〜・・・・洗わないとベタベタだ・・・・」
ぺろっと、手首まで流れた練乳を舐めるフリオニールの姿は、ちょっと、いや、かなり扇情的だった。
日に焼けた肌に白い練乳はとっても映える。むしろ変な想像をするなという方が無理である。
一部のメンバーがぴしりと固まって居るのをフリオニールは知らなかった。ティナはそれを見て首をかしげている。
セシルは苦笑しているし、オニオンナイトにいたっては少し呆れたように見ているのだった。
そんな惨状? の中、他の者と同じように固まってしまっていた我らがリーダー、WoLが
カツカツとフリオニールの元へとやってきた。
「? どうしたんだ、ライト」
かなりの量が飛び散ってしまったのだろう。フリオニールの頬にはまだ練乳が付いたままだった。
フリオニールの目の前で止まったWoLはそのまま顔を近づける。
どうしたんだろうとぽかんとしていたその時、生温かいものが頬をなぞった。
WoLのその行動に溶けかけていた者達がさらに固まってしまった。
「・・・・・っ!?」
バッと頬に手をやるフリオニール。しかしその手にはまだ練乳が付いたままだった。
今度はその手ごと舐められて、フリオニールはさらに混乱した。
WoLの顔が離れた時、フリオニールはようやく声を出す事が出来た。
「な、な、な、な・・・・・」
しかし言葉はつむげなかったらしい。顔を真っ赤にして口をパクパクさせているフリオニールに、
WoLはさらに爆弾を落とした。
「・・・君は私に襲ってほしいのか?」
その言葉はとっさにセシルによって耳を塞がれたティナ以外のメンバー全員に聞こえたらしい。
辺りに沈黙が走ったのであった。
「・・・・・な、なあ・・・」
「ああ、ちょっと、いやらしかったよな。さっきの」
「ライトもだけど、フリオニールに練乳って・・・・卑猥だったな」
「・・・・・・・・確かに」
「・・・おい」
「ん? 何だスコール」
「ライトとフリオニールが居ないんだが・・・・・」
その事実にこそこそやっていた好奇心旺盛な3人組は、フリオニールがいたはずの場所を見た。
しかしそこには彼の姿はなく、後片付けをしているティナとオニオン、それとセシルだけだった。
翌日、フリオニールが腰をさすりつつ、「もう二度と練乳なんて買うものか・・・・」と呟いていたとか何とか。
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