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□反抗期?
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「フリオニール」
「・・・・・・・・」
後ろから呼ばれる声を無視してフリオニールは歩く速度を速める。
それに気が付いたのだろう、名前を呼んできた相手が音もなく近づくと彼の肩を掴んだ。
「聞こえているんだろう?」
ライトは肩をぐいっと手前に引き、身体の向きを自分の方へと向けさせた。
振り向かされたフリオニールは不機嫌そうな表情をしたままライトから目を逸らしている。
「フリオニール?」
「・・・・・・・今、急いでるんで後にしてもらえますか」
やんわりと肩にあった手を払うと、フリオニールは駆け出す勢いでその場から去った。
ライトは呆然とその後姿を見送るのだった。
その後、何度か接触しようとしたライトだったが、休み時間になってもフリオニールはライトの前に姿を現さなかった。
ようやくその姿を発見した時にはもう放課後になっていた。
視線の先ではプリントの束を抱えたフリオニールが、歩いている。
ライトは先ほどのように逃げられてはたまらないというように、さっと近づくと資料室へと入ろうとしていたフリオニールごと室内に入った。
「なっ!?」
いきなりの衝撃にプリントを落としそうになるが、ライトがとっさに支えたおかげで床にばら撒くという事はなかった。
「ほっ・・・・。っ、いきなりなにするんですかっ!」
フリオニールは後ろから抱きしめられた状態で顔だけを振り返した。
ライトはフリオニールを無表情に見つめている。その視線にフリオニールの身体がビクッと震えた。
「・・・と、とりあえず、もう大丈夫だから離してください・・・。このプリントを置いたら後は帰るだけなんで・・・・」
うろたえた様に言うフリオニールに、ライトは抱きしめていた腕を緩めた。
それに気が付いたフリオニールは、資料の置かれている机へプリントの束を置くと、ライトの元へと戻った。
無表情で見つめるライトの視線を戸惑いながら受けつつ、フリオニールはライトの服の裾をぎゅっと握った。
「さっきは・・・・すみませんでした」
ボソッと俯いたまま呟いた言葉は、聞こえないくらいの声で、しかしライトの耳にはちゃんと届いたようだった。
俯いたままなので表情は判らないが、耳が真っ赤になっているので、顔の方は相当赤くなっているのだろう。
「フリオニール・・・・」
「だって・・・・貴方があんな事言うから・・・・・」
フイッと顔を逸らすフリオニールを、ライトは不思議そうに見つめている。
「・・・あんな事?」
「昨日の夜の事だよ・・・・」
フリオニールはぼそりと昨夜の出来事の事を話し出した。
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