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□WoLフリ de 白雪姫パロ
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昔々あるところに、フリオニールと言うお姫様がいました。
 
綺麗な銀髪に美しいかんばせ、肌の色は少々色黒ですが、艶やかな唇。
 
人は彼女? を白雪姫と呼んでいました。
 
優しい両親に育てられたフリオニールはすくすくと成長し、暗黙の了解の様に国一番の美人と噂されるようになりました。
 
そういう背景には理由がありました。
 
フリオニールが10の時。母親であるお妃様が突然亡くなり、国王が後妻として新しいお妃様を迎えました。
 
国王の妃となる者は国一番の美女ばかりでした。
 
彼女も自分にとても自信を持っており、自分より美しい者などいない。そう思い込んでいたのです。
 
彼女はアルティミシアと言う名前で、国王は後妻に少しでも王宮に慣れてもらうために、なんでも好きなようにさせてしまったのです。
 
国中に御触れを出させるほど、それほどプライドも高かったのです。
 
それは国民全てが知る事となり、前妃様の愛娘? であるフリオニールが被害に合わないように口裏を合わせていたのでした。
 
 
 
 
 
しかし、噂はいくら潜めていても広がるもの。
 
その日、継母のお妃様は自室にある鏡に向かって問いかけていました。
 
「鏡よ鏡、この国で一番美しいのは誰?」
 
お妃様は魔女と呼ばれる民族でした。その力は当代一で、自分のお気に入りの鏡に精霊を宿したのです。
 
そう、自分を褒め称えさせるために。
 
しかし、その鏡に宿ったのは自己愛の強いナルシストな精霊でした。
 
「はあ? 何を言っているんだい。
 そんなものはこの僕に決まっているじゃないか!
 全くこれだからおばさんは…」
 
その言葉に少しプッツンしそうになったお妃様でしたが、さすがにここまで質のいい鏡を割る訳にはいきません。
 
たとえ、質の悪い精霊が宿っていようとも。
 
それに国王からの贈り物を割ったら、自分の立場が危うくなるからです。
 
「こほん、では質問を変えます。
 この国の「人間」で一番美しいのは誰?」
 
ずる賢さが国一番のお妃様は質問を人間限定にしました。
 
「人間達だけなら…、そうだね。
 ああ、すぐそばにいるじゃないか」
 
「?」
 
今までとは違う回答にお妃様は戸惑いました。
 
彼はこう言う問いかけには必ずお妃様の名前を出していたのです。
 
「白雪姫だよ。彼女? がこの国の人間の中では一番だね。
 まあ、少し暑苦しいのがたまに傷だけれど」
 
それを聞いたお妃様はそれはもう怒りました。
 
思わずグリーヴァをジャンクションしてしまうほどに。
 
しかし、いくら国王の寵愛を受けているとはいえ、前妃様との間に生まれた愛娘? です。
 
しかも家臣や国民の人望も厚いフリオニールを継母のお妃様が手をかけるのは少々不味い事になります。
 
そこでお妃様は人を雇い、人知れずにフリオニールを亡き者にしてしまおう。と、考え付いたのでした。
 
それからお妃様の行動は早く、次の日には最近城使えになったと言う男に、御者として森まで連れていき、
亡き者にして来るように、そしてその証拠に心の臓と肝を持ち帰るように命令したのでした。
 
 
 
 
 
お妃様に命令された男は、フリオニールの部屋へ赴きました。
 
扉を軽く叩くと入室を促された男は、室内へと入ります。
 
そこには質素ながらも上質の着衣を身に纏った、美しい青年が立っていました。
 
男は首をゴキンッと傾げました。
 
「? どうかしたのか?」
 
まごう事なき男の声です。
 
部屋を間違えたのかと思いましたが、確かに3階の一番奥の部屋で、国王とお妃様の部屋の次に景色の良い部屋です。
 
部屋は間違っていません。しかし、この部屋の主であるはずの姫の姿がないのです。
 
たぶん、この男は姫付きの御者だろうと、男は話しかけました。
 
「この部屋に白雪姫がいるって聞いたんだが、あんた知らないか?」
 
「…白雪姫に何の様だ?」
 
今まで会ったことがなかったからでしょう。
 
室内にいた青年はとたんに警戒を強めました。
 
「いや…な、姫さんが森へ行きたいとか行っていたから一緒に行くように言われたんだが…」
 
お妃様に言われた言葉を伝えると、考える様に口元に握り拳を当てている青年の姿が目に写りました。
 
「そう…か。失礼した。
 俺はフリオニールだ」
 
「!?
 フリオニールって、あんたが姫さんか!?」
 
男は驚きました。どんなおてんばな姫さんかと思っていたら、白雪姫は男だったのですから。
 
「ああ。子供の頃、母に姫用のドレスを着せられてて…。
 出掛ける時もドレスで…、白雪姫と呼ばれ出したのもその頃だ。
 そういえば、それから姫としか呼ばれなくなったな…」
 
ははは…と、乾いた笑いをするフリオニールに、男は同情の視線を向けます。
 
「で、あんたの名前は?」
 
「ああ、俺はジェクトって言うんだ。
 城に上がる前までは森で狩人をしてたからな。
 案内なら任せとけ!」
 
「よろしく頼むよ。
 幼い頃はよく行っていたけれど、母が亡くなってから行ってなくて…。
 変わってないといいな…」
 
ニカッと笑うジェクトに、警戒を解いたフリオニールは微笑み返しました。
 
その微笑みはとても美しく、そして儚げで、ジェクトの良心をザクザクと攻撃しました。
 
 
 
 
 
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