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□WoLフリ de 白雪姫パロ
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二人はお忍び用の装いで城を抜け出すと、城の裏手にある森へとやって来ました。
 
奥の方に泉があるんだ! というフリオニールの言葉に、ジェクトは着いていきます。
 
泉に着くと、フリオニールは水面に手をさらし、懐かしげに見つめていました。
 
「ここは変わっていないな…。あの頃のままだ」
 
前妃様である母親が亡くなり、継母を迎えると、それまでは自由だったのが嘘のように束縛されたのだと、フリオニールはジェクトに話し出しました。
 
国王である父は、継母の性格を把握していて、彼女から守るためになるべく関わらないようにさせていた事。
 
その結果、部屋からあまり出ず、外出も控えていたのです。
 
「今回の事は父から聞いていなかったからあの人からの差し金だとピンときたんだ。
 あの人は、俺が邪魔にでもなったんだろう?」
 
フリオニールはジェクトの来た理由も解っていたのです。
 
解った上で外出に乗ったのだと。
 
ジェクトは物悲しくなりました。
 
本来は優しいこの男は、諦めている様子のフリオニールを逃がそうと思いました。
 
「なあ、死にたくねぇんなら、無理に死ぬこたねぇ。
 そうだな、この泉の向こうに木こりの小人達が住む小屋がある。
 そこで匿ってもらえ」
 
ジェクトの言葉に、フリオニールは目を見開きました。
 
「そんな迷惑は…!」
 
「大丈夫だ。そこには俺の息子もいるし話せば解るだろうよ。
 お妃さんには動物の心の臓と肝を持っていけば、バレやしねぇはずだ」
 
人間の臓物なんぞ、見たことのある奴の方が珍しいからな。ジェクトはそう言うと立ち上がりました。
 
いまだに迷っている様子のフリオニールに、ジェクトは微笑みます。
 
「安心しな。
 そんなに気になるんならほとぼりが覚めるまではそこに匿って貰って、落ち着いたら別の場所へ移動すりゃいい。
 国王さんにはちゃんと伝えておくから心配すんな」
 
片手をあげつつ、城のある方へと歩いていくジェクトの背中を、フリオニールは感謝と、少しの罪悪感で見つめていました。
 
 
 
 
 
ジェクトに言われた通りに泉を越えて森の奥へとやって来たフリオニールは、一軒の小屋を見つけました。
 
小屋というより、邸といった方がいいかもしれないその建物からは、人の住んでいる気配はすれど、人の気配はしません。
 
早朝に城を出たこともあり、太陽が真上に来るまではまだまだ時間がありそうです。
 
邸に近づくと、入り口の扉がキィ…と音を立てて開きました。

急いでいて鍵をかけ忘れたのでしょうか?
 
不用心だし、何かがあっては大変だからと、フリオニールは失礼して室内に入りました。
 
玄関ホールを中心に左右に部屋が別れており、フリオニールは右側の部屋を覗いてみました。

そこは居間のようで、大きな暖炉があります。
 
反対側の部屋も見てみると、台所と食堂になってました。
 
大きなテーブルに椅子が10脚。ジェクトによると8人住んでいるとか。
 
時々お客さんもあるそうなので、きっとそのために多いのでしょう。
 
フリオニールは玄関ホールにある階段を上がり、2階も調べました。
 
部屋は4つ。その内一つは一人部屋らしく、ベッドが一つしかありませんでした。
 
残りの3つの内2つは中で繋がっており、ベッドが7つ並んでいます。
 
最後の部屋は二人用の部屋のようでゲストルームでしょうか。花が飾られていました。
 
邸の探索をしている内にフリオニールは、お腹が空いていることに気がつきました。
 
勝手に上がってしまったお詫びに、食事を作っておこう。
 
フリオニールはそう思い来る途中で仕止めた兎と鴨、そして木の実などを使い、足りない食材などは借りましたが、食事を作ります。
 
森に遊びに来ていた頃、猟師小屋で母と手伝っていた事もあり、そこそこ豪華なものができました。
 
冷めても美味しいように工夫された料理は、見た目も美味しそうです。
 
自分の分を皿に取り、口に運びます。
 
焼いた肉から溢れ出す肉汁に、はふはふと言いながら食事を済ませると、持ってきていたペンと携帯用インク、便箋を使い、
ここに住んでいる小人達に宛てて手紙を書きました。
 
扉が開いていたとはいえ勝手に入ったこと、お詫びに料理を作ったこと、等を書いたら、フリオニールは眠くなりました。
 
居心地の良いこの邸は安心してしまうようです。
 
とは言えここは食堂。せめて…と、フリオニールが移動したのは、先ほどの、ベッドが7つ並んでいる部屋でした。
 
 
 
 
 
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