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□WoLフリ de 白雪姫パロ
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「たっだいまー!」
 
「今日も疲れたねー」
 
賑やかな声と共に邸の入り口の扉が開きました。
 
この邸に住む小人逹が帰ってきたのです。
 
「ん? …なんかいい匂いがするな」
 
匂いに気がついたのは金髪に尻尾のある小人でした。
 
「あー! すごいごちそうっス!」
 
頭に耳と腰に尻尾の幻惑が見えそうなくらいに涎を垂らしている濃いめの茶金髪の小人が食堂にあるご馳走を見て興奮していました。
 
焦げ茶の髪の小人もその小人と一緒になってはしゃいでいます。
 
「待て、こんなご馳走、用意していった覚えはないぞ?」
 
ツンツンチョコボという鳥に似ている髪型の金髪の小人が言うと、隣にいた黒に近い焦げ茶の髪に、額に傷のある小人も頷きました。
 
「それに…、二階に誰か居るようだよ?」
 
今日は来客の予定はなかったはず…と、ふんわりとした銀髪の小人が言うと、玄関ホールにいた、赤い兜を被ったみんなより一回り小さい金髪の小人が、
 
隣にいた金髪の女の子の小人を庇うように階段の先を見つめました。
 
「おれたちが見てくるから、オニオンはティナといてくれ」
 
「言われなくても解ってるよ!」
 
焦げ茶の髪の小人がオニオンと呼んだ赤い兜を被ったみんなより一回り小さい金髪の小人はむーっと膨れつつも、その小人を見守っていました。
 
焦げ茶の髪の小人と金髪の尻尾のある小人と茶金髪の髪の小人が、気配のある、自分達の寝室へと向かうと、そこには銀髪の青年が横たわっていたのでした。
 
「? 誰だこいつ」
 
「あ! 白雪姫じゃないか!」
 
「白雪姫? この人、男っすよ?」
 
焦げ茶の髪の小人が言った言葉に金髪に尻尾のある小人が答えるように叫ぶと、茶金髪の小人が、言いました。
 
一般的に姫と言えば女性です。たしかに疑問に思ってしまうのでしょう。
 
「いや、男だけど白雪姫で間違いないんだ!」
 
「何でだよ?」
 
焦げ茶の髪の小人と茶金髪の小人は信じようとしません。
 
「幾度か町まで言ったときに見たことがあるんだ。
 この俺が一度見たことのあるレディを見忘れるわけないだろ!」
 
レディ、かどうかは定かではありませんが、当時のフリオニールはそれはもう可愛らしかったので無理もありません。
 
「ん…」
 
小人逹が騒いでいた所為でしょうか、フリオニールは身じろぎをすると、ぼんやりと瞳を開けました。
 
その仕草は男とは思えない艶やかさがありました。
 
鼻にかかった声は、色っぽく、ぼんやりとしている姿は寝起きの彼女的な何かを感じさせます。
 
男でなければ無事ではないだろうとか明後日の方向を考えている小人逹でしたが、世の中には性別などは関係ない人種もいるのだと言うことを知った方がいいでしょう。
 
そんなこんなで目が覚めたフリオニールは、自分を覗き込む三人の小人に驚きました。
 
「!?」
 
「あ、吃驚してるッス」
 
「しかたねーだろ? 目が覚めていきなり知らないヤツがいれば驚きもするだろ」
 
驚きに声も出ないフリオニールを後目に、小人逹は話しかけます。
 
「なあ。あんた、白雪姫なのか?」
 
「あ、ああ。巷ではそう呼ばれているが…」
 
「やっぱそうじゃん!」
 
「男だったんスか…」
 
フリオニールの答えにへーと頷く者、やっぱりと頷く者、がっかりしたポーズをとる者と、三者三様に分かれました。
 
「で、その白雪姫は何でここにいるんだ?」
 
小人逹の住む邸は城の裏手の森の奥にある泉のさらに奥。ここの事は森に住んでいる狩人と、少数の者しか知りません。
 
「一緒に森に来た狩人にここで匿ってもらえって…」
 
「狩人? もしかしてジェクトって名前か?」
 
「ああ。知っているのか?」
 
「ジェクトはこいつの父親さ」
 
焦げ茶の髪の小人が言うと、茶金髪の小人はムスーッと膨れています。
 
「あんなヤツ、父親じゃないッス!」
 
「匿ってもらえって…、なにかあったのか?」
 
金髪に尻尾のある小人が茶金髪の小人を無視して続けて聞いてきたので、いいのか? と思いながらもフリオニールは事情を話しました。
 
 
 
 
 
話終えた後、目の前にいたのは涙を滝のように流す三人でした。
 
「ひでぇ〜! 自分の邪魔になったからって普通、再婚相手の娘? を亡き者にしようとするかぁ?」
 
「継母と継子だからなぁ…、白雪姫も大変だったんだな!」
 
「そういうことなら安心するッス! ここにいれば大丈夫ッスよ!」
 
茶金髪の小人の言葉に他の二人も頷きました。
 
「でも…やっぱり迷惑が…」
 
言い淀んだフリオニールの言葉は勢いよく開けられた扉の音によって遮られました。
 
「話は聞かせてもらったよ」
 
ふんわりとした銀髪の小人の手には骨付きの唐揚げがありました。
 
「あー! セシルずっりぃ〜!」
 
セシルと呼ばれたふんわりとした銀髪の小人は、モグモグと咀嚼すると、口の中のものを飲み込んでから続けました。
 
ずるいという声には無視しています。
 
「なにもしないで守られるだけなのが嫌なら、この家の家事をやってくれないかな?
 これだけのものを作れるのなら慣れているみたいだし…。
 量的にちょっと大変かもだけど…、僕たちが守る代わりに君が食事を作る。でどう?」
 
話している間に、大きかった骨付きの唐揚げは、あっという間に持ち手の骨のみになりました。
 
「え…、そんなことなら別に構わないけど…。
 本当にいいのか?」
 
小人の申し出に、フリオニールはぽかんとしています。
 
「うん。他の皆も気に入ったみたいだしね!
 部屋はゲストルームがあるし、気にしなくても大丈夫だよ」
 
「! ありがとう!」
 
こてん、と首を傾げる小人に、フリオニールはぱちりと瞬きした後、眩い笑みを返したのでした。
 
 
 
 
 
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