聖 剣 L O M
□月読の塔
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真珠姫が戦えない代わりにフレイアが行く先々の敵を鬼の様に蹴散らしながら、二人は最上階までたどり着いた。
レイリスの塔の最上階にある、通称『運命の部屋』。ここには不思議な噂がある。
噂では過去を見る事が出来るだのお宝がいっぱいあるだの・・・・こういう場所にはありがちな噂だ。
あながちウソではない証拠に、ここにはこの塔を建てた騎馬民族の秘宝が眠っているはずだった。そしてそれを守る魔物も。
「・・・・最上階にはこの部屋しか・・・・って、真珠姫?」
「・・・・このとびらのむこうは『運命の部屋』。だれもが過去とむきあうの・・・・。
わたし・・・・・・・・・・・・。
・・・・おねぇさま、あぶなくなったらにげてくださいね」
大きな扉を開けようとしている真珠姫にフレイアは少し吃驚した。
「ちょ・・・真珠姫、待ちなさい! 私も手伝うから!」
重い扉を開けるのに顔を真っ赤にしていた真珠姫はフレイアの申し出に嬉しそうに微笑んだ。
扉を開け、室内に入ったとたん真珠姫は部屋の中央の方へと走っていった。
フレイアはやれやれと、少しあきれ気味に真珠姫についていく。
そこには真珠姫に似た、しかし、雰囲気がまるで違う金髪の女性が立っていた。
「あなたが・・・・この部屋のばんにん??」
真珠姫の核が共鳴する様に光った。真珠姫は神妙な面持ちでその女性に近づいていく。
「あの、おしえてください・・・・。
わたし、じぶんの過去が・・・・・・・・
しりたいの・・・・」
真珠姫の問いかけに、俯いたままの女性。真珠姫はなおも近づこうと、歩を進めた。しかし。
「きゃぁっ!!!!」
見えない何かの力で弾き飛ばされた真珠姫に、フレイアが駆け寄ろうとしたその時、頭上から何かの気配がした。
「!! 真珠姫! よけてっ!!!」
フレイアの言葉に真珠姫は部屋の端へと避ける。その次の瞬間、けたたましい音と共に大きな魔物が落ちてきた。
馬と人が合体したようなその異形な魔物は、『デスペイン』。このレイリスの塔の内部を彷徨っている亡霊である。
「っ! やっかいだねっ」
「お、おねぇさま・・・・」
右手に持つ大きな斧と振りかざし、フレイア達に襲い掛かってくる。
「よっと! ・・・・・スプラッシュパール!」
振りかざされた斧を避けつつ、フレイアは懐から愛用している清流のフルートを取り出し曲を奏でた。
『スプラッシュパール』・・・水の精霊・ウンディーネの力を借りた、水圧で敵を吹き飛ばす魔法である。
ただ、発動までに少し時間がかかるのが難点であるが、使い勝手が良いのでフレイアが愛用している魔法の一つだ。
ものすごい水圧で吹き飛ばされたデスペインに向かい、フレイアは愛用の槍を構え直した。
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