聖 剣 L O M

□月読の塔
3ページ/6ページ






あっという間に床に沈んだデスペインに真珠姫がフレイアを羨望の眼差しで見ている。

「おねぇさま、すごーい!」

「あははは・・・・まあ、これでも色々やってきてるからね・・・・」

軽く苦笑いするフレイアに真珠姫は不思議そうに見る。あまり過去を話さないフレイアは、初対面の相手にとっては
不思議な人なのだろう。

「で。これからどうするの?」

一番厄介そうな奴は倒しちゃったし・・・・とフレイアは真珠姫に聞いた。

「もうすこし・・・もうすこしだけここに居た・・・」

真珠姫が言い終わらないうちに、部屋の入り口の扉がバンッと開いた。

真珠姫の核がきらりと光る。

「あ、あれ? 核が・・・・」

「! ここに居たのか、真珠!! ・・・それにフレイア、あんたも」

「やほー、瑠璃」

扉を開けて入ってきたのは瑠璃だった。フレイアは軽く挨拶をする。

「それにしても・・・・、一人でウロツクなと言ったろ?」

「ご、ごめんなさい・・・・。いろいろ、おもいだそうとしてたら・・・・」

瑠璃は、またか・・・という風に溜息を吐くとフレイアの方を向いた。

「すまなかったな、つきあわせて」

「んーん。いいのよ。私も心配だったし」

謝る瑠璃にフレイアはにっこりと微笑みながら答えた。

「そうか・・・・。真珠、行くぞ」

ほうっと安堵の溜息を吐いた瑠璃は真珠姫に向かって声をかけ、歩き出した。

「まって、瑠璃くん・・・・。なにか、おもいだせそうなの・・・・・
 おねがい、もうすこしだけ・・・・」

真珠姫は懇願する様に瑠璃を見つめている。歩を止めない瑠璃に真珠姫は泣きそうな表情になる。

「おねがい・・・・瑠璃くん・・・・」

真珠姫の言葉にフレイアも瑠璃に声をかける。

「瑠璃・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はあ、わかったよ」

「!!!!!」

俯いて泣きそうな顔をしていた真珠姫が顔を上げた。瑠璃はフレイアに顔を向けている。

「フレイア、真珠姫を塔の下まで連れて来てやってくれ。オレは先に行っているから・・・・」

そういうとフレイアに近づき、真珠姫に聞こえないくらいの声で呟く。

「真珠に何かしてみろ・・・・・そのときはアンタを・・・・・。わかったな?」

「はいはい。わかってるから」

フレイアは瑠璃の脅しにも屈せず、手をひらひらと振って返した。

「・・・・少しだけ雑魚の掃除をしておいてやるよ。コイツに無理をさせないでくれ」

「わかってるわよ。・・・・誰が一緒だと思っているの?」

瑠璃には話していないが、この最上階に上ってくるまでフレイアが一緒だったのだ。

「・・・・アンタの腕は信用してる」

瑠璃はそう言い残して、部屋を後にした。

「おねぇさま、よろしく・・・・おねがいします」

頬を赤く染めて言う真珠姫に、フレイアは微笑んだ。





NEXT→

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ