聖 剣 L O M

□四つ葉探し
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「じゃあ、行きましょうか。・・・・って、真珠姫にも伝えていかないとね」

「ああ・・・・、そうだな」

ひとまず、瑠璃達の泊まっている宿屋へ移動しようと酒場を出ようとした時、外から入ってきた人物にフレイアは
思い切りぶつかってしまった。

「わっと・・・・」

「きゃっ!」

思わず抱きとめたフレイアに、聞き覚えのある声が聞こえた。

「あら、真珠姫じゃない」

「あ! フレイアおねぇさま! こんにちは!」

「はい、こんにちは」

フレイアは腕の中にいる真珠姫に微笑みかける。真珠姫は頬を赤く染めてモジモジとしている。

「ああ、ごめんね。抱きとめたままで。結構、思い切りぶつかったんだけど・・・核の方は傷つかなかった?」

「は、はい、だいじょうぶです! あの・・・・瑠璃くん、いますか?」

「ええ、すぐ後ろにいるよ」

フレイアの後ろにいた瑠璃に真珠姫が気が付いた。

「どうしたんだ? そんなに慌てて・・・・」

「あ・・・・あのね。なんだかおいていかれそうな気がして・・・・」

瑠璃とフレイアの様子に、真珠姫は寂しそうな表情になった。

「・・・・・でかけるの?」

「ああ・・・・」

「わたし、お留守番?」

「ああ・・・・」

「・・・・・・・・・ずるい。瑠璃くんばっかり、フレイアおねぇさまと・・・・」

「ずるいって・・・・。仕方がないだろう? 外は危険がいっぱいなんだぞ?」

「そうだよ?」

瑠璃に同意するフレイアに真珠姫は少しむくれる。

「このあいだはいっしょに行ったもん」

「あの時は事情が事情だったでしょう?」

「むーーーーっ」

「・・・・・こまったな」

困惑の色を濃くしている瑠璃に、フレイアも戸惑う。

真珠姫がここまでごねるのは瑠璃から見ても珍しいらしい。

「・・・・・! そうだ。じゃあ、私達が出かけてる間、ウチに来ない?」

「え・・・・・」

「おねぇさまの家に?」

「そう。ここも安全とは言いがたいし・・・。ウチなら私の兄や双子達が居るから何かあった場合でも対応できるだろうし」

「・・・・そうだな。その方が安全か・・・・」

フレイアの提案に瑠璃も納得する。真珠姫は瞳がキラキラと輝いているようだ。

「おねぇさまのお家に行っていいの?」

「ええ、真珠姫さえ良ければ」

「! うれしい・・・! うれしいよ! ありがとう、おねぇさま!! さっそく、行ってくる!」

「ちょっとまって! 家までの道分かるの?」

「あ・・・・・・・」

フレイアの指摘に、真珠姫が顔を赤く染める。

「くす・・・・じゃあ、出発前に家まで一緒に行きましょうか。私も一言、言ってから行きたいし」

瑠璃もその事に異存はない様で、フレイア達はいったん、自宅へと足を向けた。




「というわけで、行ってきます。真珠姫、よろしくね!」

「よろしくおねがいします。・・・・おにいさま!」

元気はつらつに言うフレイアと顔を赤くしてモジモジ言う真珠姫を見ながら、フレイははあ・・・・。と溜息を吐いた。

「どういう訳かはいまいち解らんが、とり合えず、お前たちが戻るまで真珠姫を預かればいいんだな?」

「そゆこと!」

びしっとフレイを指差して話すフレイアに、瑠璃は呆然としてその光景を見ていた。

真珠姫は居間にある大きい暖炉の前の椅子に座り、あったかいなぁ・・・・と呟いている。

「まあ・・・・1人にさせておくのも心配だろうしな・・・・家で良ければいいぞ」

「ありがと! コロナ、真珠姫の相手、お願いね!」

「はい! わかりました!」

同じ女の子同士、話も弾むだろう。変な輩もこの家ならばやって来る事もない。例え来たとしてもこの兄と
何気に出来る双子達に退散されるだけだ。

ファ・ディール中を探しても、騎士の傍以外でここほど安全な場所はないかと思われる。

「じゃあ、お兄ちゃん、行ってくるね。真珠姫〜、行ってきます」

「おう」

「いってらっしゃい」

いまだ呆然としている瑠璃を引き摺りながら、フレイアは自宅を出た。






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