鋼 の 錬 金 術 師

□小さな幸せ
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何時間がたったのだろうか、ふと目が覚めたロイは銀時計を手に時間を確かめる。
朝の4時半・・・・約4時間ほど仮眠を取った事になる。
まだ眠気の残る体を起こそうと身体を伸ばすが、そんなに眠気は取れなかった。
熱いシャワーでも浴びて眠気を覚まそうとシャワー室へ向かった。


そのころ、エドワードは早朝の司令部にやってきていた。
前日に徹夜で残業だ。と言っていた恋人に会うためである。
司令室の明かりがついていたのでまだ終わってないのかと思い顔を出して見ると、中尉と少尉が忙しそうに仕事をしていたので、
声をかけず、ロイのいるはずの執務室へ行こうとした。
「エドワード君?」
その時、司令室のドアが開いて中尉がその先に赤いコートを羽織った少年を見つけた。
「あ・・・・、おはようゴザイマス・・・・」
「ずいぶん早いのね。どうしたの?」
こんな時間にここにいるのが不思議に思った中尉はエドワードに聞いて見る。
「残業・・・・だって・・・・・・聞いたから、コレ・・・・」
エドワードは顔を真っ赤にして俯いてしまう。
手には紙袋を持っていた。
「ちょっと早いけど、朝食にでもって・・・・・」
「まあ・・・・・どうもありがとう」
エドワードの気遣いに中尉はほんわかとしていた。
「ありがたく戴くわね。あ、大佐なら仮眠を取られているからそろそろ起こしてきてもらえるかしら?」
「ん、わかった〜」
エドワードはすたすたと、片手を上げて仮眠室の方へ歩いていった。


「大佐ぁ〜?」
仮眠室のドアを開け、他に夜勤の人が仮眠しているといけないと思い、控えめの声で声をかけて見た。
部屋の中はシーンと静まり返っている。
「?」
どのベッドも使用されている形跡がないので不思議に思っていると、後ろに気配がした。

「鋼の?」

「うわぁぁぁ!!!!!!!」

エドワードはいきなり声をかけられてびっくりして雄叫びを上げた。
ロイは耳をふさぎながら不思議な顔をしている。
「まったく、何を驚いているのかね?」
「いきなり後ろから声かけられれば誰だって驚くだろう!!!!!」
「だからと言ってそんなに叫ばなくても・・・・」
ロイはドアを閉めると、髪を拭きながら一番奥のベッドに向かって行く。
エドワードもそれに付いて行った。
ロイはベッドに腰掛けると、エドワードを仰ぎ見る。
「こんな時間に・・・めずらしいな」
「・・・・・・・残業だって聞いたから差し入れ、持ってきたんだよ」
「それだけかい?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・それとあんたに逢いたかったし」
ロイは一瞬、瞬きをするとふんわりと微笑んだ。





END


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