聖 剣 L O M

□港町・幽霊騒動
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シーサイドホテル内での聞き込みは、どれも同じで、何も無いはずの場所に鎧をつけた幽霊が現れると言うものだけだった。

フレイア達はショッピングマリーナの方へと向かった。

ここはポルポタ内でも活気に満ちている所だ。

訪れる者達がショッピングする事もあり、その品数は豊富でいろいろな物が売られていた。

「シーサイドホテルの噂知ってる〜? 最近出るらしいよ〜」

フレイアが花屋の花人に話しかけた時にそういう話が出た。

「噂って・・・幽霊?」

「そう! 怖いよねぇ〜」

怯えている様子の花人に、フレイアがどうしようかな・・・・と考えていると、目の前にある岩で出来た椅子のような部分に、
大きな水の塊が現れる。次の瞬間、中からマーメイドが現れた。

「幽霊なんかいないわよ!」

「フラメシュじゃないか」

「そんなのは誰かの悪戯よ。それか、タダの目の錯覚じゃない?」

「でも、見たって人が多いんだよ〜」

花人の言葉にもフラメシュは顔を背ける。

「あなたは?」

黙って会話を聞いていたフレイアがフラメシュに話しかけた。

「あたしはフラメシュ! 見ての通りマーメイドよ。
 仲良くしてね!」

「私はフレイアよ。よろしくね」

「うん!」

にっこりと笑うフラメシュに、フレイアは先ほどの話を聞いてみた。

「幽霊なんか誰かのイタズラよ。みんなしてびびちゃって、だらしないの!」

「なんで、そう思うの?」

「幽霊なんていないわ。だからよ」

「シーサイドホテルに行ってみなよ。幽霊に会えるかもよ?」

フラメシュとの会話に花人が話しかけてきた。

「私達、そこに泊まっているのよ」

「そうなの!? じゃあ、幽霊はもう見た?」

とたんにワクワクし始めた花人にフラメシュがしらけた視線を送っている。

「・・・馬鹿じゃないの?」

「まあまあ・・・・。幽霊・・・かどうかは判らないけれど、それを今調べているのよ」

「ふぅ〜ん」

「フラメシュも何かヘンな人とか見たとかあったら教えてね」

「わかったわ」

「じゃ」

フレイアは手を振るフラメシュに手を振り替えしてその場を去った。




ショッピングマリーナを抜け、フレイア達は入り江のある場所まで来た。

小さな海岸に打ち寄せる波が、キラキラ輝いている。

「ここには人はいないかしらね・・・・・。ん?」

キョロキョロと周りを見渡していると入り江の崖の上に人影を見つけた。何処かの兵士だろうか、鎧を身に纏っている。

フレイア近くに行くとその兵士はフレイアの方を向く。

「ん、何か用か?」

「こんなところで何をなさっているんですか?」

フレイアは思っていた事を聞いてみた。

ショッピングマリーナとかレストランとかならわかるが、何もないこの場所にたたずんでいるだけと言うのも不思議である。

「ああ、すまない。俺は帝国の衛兵、トーマだ。十日前に沈没した、帝国船のことを知らべている」

「私は、フレイア。沈没した・・・・って、帝国の船が、ですか?」

「ああ・・・。皇帝の秘密の指令を受けて、この港町を目指していた。
 だが、十日ほど前沈没した。当日は海も空も穏やかだった。
 なにがあったのか、まったくわからん」

「そうなんですか・・・・」

「とりあえず目的地だったと言うこの町まで来て見たんだが・・・」

俯きだしたトーマにフレイアはある事を思い出す。

「そういえば関係ないとは思いますけど、数日前からシーサイドホテルの方に鎧姿の幽霊が出るらしいですよ」

「ああ、それなら俺も気になっている。関係あるのかは分からないが・・・・」

「そうですね・・・。私も何か分かったら教えますね」

「ああ、たのむ」

フレイアはトーマに挨拶すると入り江を後にした。





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