聖 剣 L O M

□希望の炎
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癒しの寺院へ続く道は、どのような参拝者でも来れる様に比較的傾斜が緩やかだった。

とりあえず寺院まで行って見ようかと歩を進めると分かれ道があり、そこに赤い髪をした青年が立ってフレイア達をじっと見ていた。

「すまない。少しいいか?」

「? 何かあったんですか?」

「俺はルーベンスという。この町でで炎の技師をしている者だ。少し尋ねたい事があるんだが・・・」

話し続ける青年― ルーベンス ―に瑠璃は怪訝な視線を送る。

「ルーベンスだと? ・・・アンタ、もしかして・・・・・・」

「何の事だ? 人違いじゃないか? それよりも、癒しの寺院の炎が狙われているらしいんだ。
 君達は外から来たんだろう? 怪しい者を見なかったか?」

「いいえ、特には。・・・・・あ、さっきの草人とかなら・・・・」

急に苦しみだした草人に少しおかしく感じていたのでフレイアはそう述べる。

「草人? ああ、さっき走って行った・・・・。アレは関係ないだろう。・・・・やはりデマだったのかな?」

「あの・・・・」

警部も大げさだからな・・・と呟くルーベンスにもう一度話しかけた。

「ん? なんだ?」

「さっきの草人ってどっちへ行ったんですか?」

「ああ、テラスの方へと走って行ったな」

「警部ってどんな人なんですか?」

「なんだ、知らないのか? いつもパイプを銜えた声の大きなねずみ男さ。少々おせっかいな所があってね。
 へんな事件が続いているものだから、気をつけろとうるさいんだ」

「ああ、あの警部さんか・・・その方なら知ってます。・・・あ! あと、ルーベンスさんって普段何してる人なんですか?」

「俺は炎の管理をしている。寺院に行けばわかるが、炎を絶やさないのが俺の役目だ。寺院に行くなら、左手の道だ」

「そうなんですか。ありがとうございました! ・・・・ほら瑠璃、行こっ!」

フレイアがテラスの方へと行くと瑠璃はルーベンスを見ながらもそれに付いて行った。




テラスには先程お腹が痛いと騒いでいた草人と修道女がなにやら言い争っていた。

暫くして草人はテラスから泣きながら走り去ってしまったのだった。

「まだ、痛かったのかな・・・お腹」

草人の傍にいた修道女にどうしたのか聞いてみると、どうやら草人が痛がっていたのは葉に潜んでいた『回虫ププ』の所為に
よるものらしかった。

「万能薬の材料で、それはそれは高価な物なのに・・・。利用しないなんてもったいないわ。
 ・・・そう言えば、ルーベンスさんも万能薬を欲しがっていたかしら?」

修道女の言葉に瑠璃が怪訝な顔をする。

「ルーベンスか・・・・・・・・ アイツ、怪しいな・・・・・・・・。確かめたほうがいいな」

「ルーベンスさんなら時々このテラスに来るわ。ここは風が気持ちいいから」

「そうなんですか・・・。どうも」

修道女に挨拶してフレイア達は来た道を戻る。するとルーベンスがさっきの場所にまだ立っていた。

ルーベンスを凝視している瑠璃の腕を取り寺院の方面へと引っ張る。

「っ・・・おいっ!」

「行こうね?」

にっこりと黒い笑みを浮かべるフレイアに瑠璃は素直に頷いた。

フレイア達が寺院の方へと姿を消した時にルーベンスの元に不振なものが届いたとは知らずに。

癒しの寺院へ行くと、礼拝堂でまた修道女と先程の草人が騒いでいた。・・・騒いでいたのは草人だけだったが。

フレイア達が見ていたが、草人はそれに気づかず寺院の外へと行ってしまう。

呆然とするフレイア達だったが、すぐに我に返ると情報収集を始めた。

とは言っても此方でも情報は殆どなかったのだが。





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