聖 剣 L O M

□希望の炎
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とりあえずテラスへ行って情報整理しようと言う事になりフレイア達はテラスまでやってきた。

そこには先程、道を通った時には居なかったルーベンスとテラスにいた修道女が草人の近くにいた。

「お腹、痛いの〜〜! 葉っぱ剥かないで治して〜〜〜〜〜!」

まだ痛がっていた草人に修道女が優しく声をかけた。

「さっきはごめんなさいね。ちゃんと治してあげるから、こっちへいらっしゃい」

「うん」

修道女の言葉に、草人は素直に二人に近づいた。

「ほら、ルーベンスさん」

「あ、ああ・・・・・」

「むぎゅっ!」

押しつぶされた形になった草人はそのまま倒れこんだ。

「さあ」

「待ってくれ・・・・・」

「ためらうことはありませんよ。石の眠りについてしまった恋人を救うため、でしょう?」

「それは・・・・そうだが・・・・・」

なおも手間取るルーベンスに、押しつぶされていた草人が起き上がる。

「オニ〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!」

草人は目に涙を溜めてテラスから出て行った。

「あら・・・・。ほら、逃げられてしまったじゃないですか」

「しかし・・・・人を傷つけたくはない」

「甘い、ですね。そんなことじゃ、誰かを守る事なんて出来ないんじゃないかしら」

「・・・・・・・・」

黙り込んでしまったルーベンスに修道女はなおも言葉を続ける。

「生きていくという事は、この険しい岩壁に道を作る様なもの・・・・・・・・」

修道女がフレイア達のほうへと近づいてきて、瑠璃の前で止まった。

「心に希望の炎を絶やしたら、とても頂上まで登りきることはできない。そうは思いません?」

くるっと向きを変えてルーベンスのほうを見やる修道女。フレイアは声をかけようとした、が。

「みんな、甘いわ。強くなければ、生き残れない。これは、自然の掟なのよ? 大事な人は誰かを傷つけてでも、守らなければ・・・・。
 そう思わない? 騎士様?」

「! ・・・・・なぜ、オレの事を・・・・」

「くすくす・・・・・・さあ? なぜかしらね・・・・・」

くすくす笑いながら離れて行く修道女を見ながら、瑠璃はルーベンスに向かい問いかける。

「おい、アンタ・・・・・・」

「珠魅・・・・・・か?」

ルーベンスは瑠璃の胸元にある核を見て、そう呟く。

「俺はラピスラズリの騎士、瑠璃だ・・・・。アンタ、ルビーの珠魅だな?」

「声がでかい。珠魅だと知られたら、どうするんだ? 襲われてしまうかもしれないのに」

ルーベンスの嗜める言葉に、瑠璃は声のトーンを下げた。

「・・・・すまない。オレは仲間を探しているんだ。アンタ、一緒に来ないか?」

仲間がいるなら一緒に・・・・と思っていた瑠璃はルーベンスを誘う。

「仲間を探してどうするつもりだ?」

「え・・・・。どうするって・・・・・・。珠魅同士、一緒にいるのが自然だろう?」

吃驚した瑠璃は当然だろうというように言葉を返す。しかし、ルーベンスから帰ってきたのは冷たい一言だった。

「くだらないな」

「な!? ・・・・なんだって?」

ルーベンスの言葉に瑠璃は切れそうになっている。

「君は珠魅の住んでいた都市が滅びた理由を知らないから、そんな事を言えるんだ」

「滅びた理由?」

「珠魅の、俺達が住んでいた都市は、仲間の裏切りで滅んだんだ」

「ウラギリ・・・・・・」

瑠璃はショックを隠せない。ルーベンスはなおも続ける。

「そうさ、裏切りだ! だからもう仲間だろうと信じられないんだ」

「ばかな! 珠魅が珠魅を信じないで誰を信じろって言うんだ!! 他種族を信じろっていうのか?
 オレ達を装飾用の宝石だと思ってるような奴らだぞ!」

思わず激昂した瑠璃の言葉にルーベンスも頷く。

「それには同感だ。俺も他の種族の連中の事なんて信じていない」

「・・・・・珠魅も、他の種族の奴らも信じない、信じていないって言うのか・・・・・・・・アンタは!」

「そうだ。・・・もういいだろう? 俺に関わらないでくれ」

冷たく言い放つルーベンスに、瑠璃は俯いたまま呟く。

「言われずとも消える」

「ああ、そうだ。瑠璃、君も自分が珠魅だなんて言いふらすなよ? そこの子だって核目当てかもしれない」

ルーベンスはスッと目を細めてフレイアを見る。瑠璃は苛立ちを隠せずに怒鳴った。

「こいつはそんな事しない! 俺たちの事を核目当てでなんか見ていない!
 ・・・・フレイア、コイツの事は真珠姫には言わないで置いてもらえないか? やっと見つけた仲間がこれじゃ、
 アイツ、がっかりするだろうから」

「・・・・・・・・わかった」

「・・・・・・・・・・・」

ルーベンスは冷めた目でフレイア達を見ていた。





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