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□ネコミミフードの話 前編
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それはクリスタルを手に入れてから数日たったある日の事でした。









「なんだ? この宝箱は・・・・」

フリオニール達の視線の先には宝箱が道端にぽつーんと、あたかも開けて下さい的に置かれていたのでした。

カギ穴の部分が猫の形になっているそれを、隣を歩いていたジタンがさっさっと開けると、
中には飲み物のようなものがありました。

それは猫の形を模しているビンで、中には青い液体が入っている物でした。それも4本。

隣にいるフリオニールは不思議そうにそのビンを眺めています。

「何だろうな・・・コレ?」

1ビン取り出してみると、カサリと紙がこすれる音がしたので、フリオニールはビンに押さえられる様に差し込まれていた
手紙の様な物を取り出してみました。


『期間限定ポーション!
 
 この商品は期間限定の代物です。

 日常、戦い疲れた虫ケラ共にもお勧めです。

 今なら通常1本500000ギルのところを、4本無料でご奉仕いたします!

 この機会にぜひどうぞ!

 
                                    道具屋:ウボァー』


「・・・・・・・・・・・・」

横から覗き込み、その内容に思わず固まってしまったジタンを、フリオニールは不思議そうに見ています。

それにしても1本500000ギルとはぼったくりもいいところです。エリクサーとかならばともかく。

道具屋の名前からして胡散臭さぷんぷんです。

しかしフリオニールはソレに気付いていないご様子。純真というかなんと言うか・・・そんな二人のすぐ傍から
カサリと音がしました。

「はぁ・・・はぁ・・・・・二人とも、こんな所にいた。探したんだよ?」

茂みからセシルが出てきました。どうやら二人を探していたようです。

「あ、1本貰ってもいいかな? ちょっと喉が渇いちゃって・・・・」

「ああ、いいんじゃないか? タダだし」

フリオニールはそう言うと、お礼を言うセシルにその怪しげなポーションを手渡しました。

「ちょっ・・・・・・あ」

「ごっくん。・・・・・・え?」

正気に戻ったジタンがセシルが件のポーションを飲もうとしていたのを見て止めようとしたのですが、
すでに遅く、セシルは一緒になって飲もうとしていたフリオニールと供に一気に飲んでしまった後でした。

「ど、どうかしたのか? ジタン??」

殻になったネコ型のビンを持っておろおろしだしたフリオニールと、首をかしげているセシルに、ジタンは冷たいものが
背中を滑り落ちるのを感じました。

「ふ、二人とも、なんともないのか?」

「え? 別になんとも無いけれど・・・・ねえ、フリオニール」

「あ? ああ、普通に体力回復しているが・・・・」

その言葉にジタンは二人をまじまじと見直しましたが、特に変化があるわけではないので、気にしすぎか。と
納得しました。

「そっか。なら俺も貰おっかな」

ジタンは残っている2つのうちの1つをとると、腰に手を当てて飲み干しました。

「こんな所にいたのか」

そこへがさり、と音を立てて脇の茂みから出てきたのはどんな事をしてもブレないと言われているWoLでした。

いきなり出てきたので少し驚いたジタンは咽そうになりましたが、何とか気合でカバー。咽ずにすんだようです。

「? どうかしたのか?」

「い、いや? いきなり出てきたから驚いただけだ」

「そうか。それはすまなかったな」

ジタンの言葉にWoLは素直に謝っていました。

「あ、ライト、頬に傷が付いてるよ?」

セシルの言葉に、森の中を歩いてきた時に小枝ででも切ってしまったのでしょう。WoLの頬に赤い線が
スッ・・・と入っていました。

「このくらいならば、舐めておけば治る」

「どうやって舐めるつもりですか。・・・・・はい」

WoLの言葉に、セシルは苦笑いを浮かべると、宝箱に残っていた最後の一つのポーションを渡しました。

黙って受け取ったWoLはそれを躊躇も無く飲み干します。

「そうだ、ライトはなぜここに?」

「野営の場所が決まったので、君達に教えるために探していたのだ」

「あ」

そうだった。と言わんばかりのセシルに、WoLは軽く溜息をついています。

すまなさそうにするセシルに、フリオニール達も苦笑いを浮かべていました。








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