鋼 の 錬 金 術 師

□2006年 年賀フリーSS『隻眼の錬金術師』
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「あの戦いで祖父と父を亡くした。それは私の薬でだった・・・・・上層部がね、イシュヴァール戦を反対していた祖父たちに私が開発した薬を使い、
 抹殺を図ったのだよ。私はそうとも知らず、薬物を考案し続けた。・・・・・・真実を知ったのは戦争が終わって実家に帰ったときだった。
 上層部が家族に全ての事を話して抹殺した後の、その現場を発見したからね・・・・・・
 帰宅の連絡を受けて訪れていた婚約者も血だらけになった大広間で母や祖母とともに倒れていた・・・」

「!!!!!!!!!!!!!!」

「そのときは軍には何にも疑問を思っていなかった・・・・あの発表を聞くまでは」

「・・・・・・・・・・・あんたの婚約者が薬物を使わされて亡くなっていたことか?」

エドワードは厳しい顔をして口を挟んだ。

「そう、それを聞いて急いで研究室へと戻り、分析をした結果・・・・・・・この世にはひとつしかありえない薬物だった」

「あんたが開発した、この羊皮紙にも書かれている鉱物から抽出される薬物・・・・」

「それはね、人間の精神状態を混乱させて幻影を見せ、敵を同士討ちさせる為の薬物だったのだ。イシュヴァール戦でも重宝した。
 撹乱させて同士討ちさせればこちらの被害も少ない・・・。
 だが、戦争に反対気味だった私以外の家族は軍の上層部に抹殺された・・・・その薬でな」

ランバートの表情は無表情だが瞳に怒りがともっている。

「祖父と父の時は両方に、母たちの時は・・・・婚約者と母にそれを使ったのだ。検死のデータからその薬物からしか出ない反応がでていたからな。
 私はその後すぐに自分に関する書類を日の目に着かぬところに封印し、この羊皮紙のみを持ち出し、行方をくらました」

「・・・・・軍の上層部への復讐か」

ランバートは、ふっと笑った。

「そんな綺麗なものではない。第一復讐するなら私のデータを全て抹消してから行方をくらます。他にも理由があったからだ」

「・・・・・!、まさかっ!」

エドワードは、ばっ、と顔を上げランバートの顔を凝視した。

「君の思っているとおりだよ。私はソフィアをよみがえらせようとしたのだ。そのために賢者の石が必要だった」

「ソフィア・マクガーレン・・・・あんたの婚約者か」

「あの戦争の後、式を挙げるはずだった・・・・。せめて式だけでも挙げてやりたかったからね・・・・しかし、それは失敗に終わった」

「賢者の石、それがないと成功はしない」

「そう、アレがないと成功しなかった。私は代償に左目を失った」

左側の前髪を掻き上げると右目とは違った作り物の輝きのある瞳が現れた。

「ならなぜ、意味のない事をさせようとする」

「ある計画のために・・・ね、君にはその研究を完成してもらわなければならないのだよ」

ランバートはゆらり、とエドワードの前に立ち上がった。

「・・・・・・・・・えっ」

エドワードはいきなりの事に、びっくりして後ずさりした。

「君には大人しくしていてもらわないといけないのでね」

その言葉を聴いたときには目の前が真っ暗になっていた。





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