D F F

□クリスマスの話
2ページ/3ページ







今日の天幕のメンバー割りはWoL・フリオ・セシル、ティナ・オニオン、バッツ・スコール・ジタンで、夜警はクラウドとティーダだ。

ティナとオニオンを天幕へと運んだ後、自分達の天幕の入口の布を捲り上げると、すでに就寝の支度をしていたセシルが振り向いた。

「おかえり。ティナたちは大丈夫だった?」

「ああ、疲れたんだろう。ぐっすり眠っていたから」

「だろうね。僕達でさえも少し疲れ気味だもの」

くすりと笑みを浮かべるセシルに、フリオニールも釣られて笑う。

WoLとフリオニールが武器の手入れをし始めたのを、後は寝るだけになったセシルが眺めている。

特に多種多様な武器を操るフリオニールの武器はその数だけでも大変そうだった。

「フリオニールって凄いよね」

「え?」

セシルの呟いた言葉はしんっと静まり返り、手入れをする音のみとなった天幕内に思っていたより大きく響いた。

先に盾と剣の手入れが終わり、寝る準備に取り掛かっていたWoLもその声にコクリと頷いた。

「い、いきなりどうしたんだ?」

「「・・・可愛い(ね・な)」」

目をぱちくりさせて驚いているフリオニールに、WoLとセシルは思わず呟いた。その言葉にフリオニールは手入れしていたナイフをかちゃんと
音を立てて下に落とした。

「な、な、なにをっ!?」

落としたナイフを拾い上げたフリオニールは動揺を隠せずに、慌てている。

その様子を微笑ましく眺めているWoLとセシルはさらに笑みを深めた。

「反応が可愛すぎるんだよ」

「普段から愛らしくはあるがな」

WoLが少しブレ始めたが、フリオニールは相変わらずあわあわと慌てているままで、セシルも微笑んでいるだけだ。

ツッコミが誰一人としていないこの空間で、フリオニールは顔を真っ赤にしていた。

「いいなぁ・・・ライトはいつもこんなフリオニールを独り占めしてるんだよね?」

「ひ、独り占めって」

「仕方が無いだろう。彼が愛らしすぎるのがいけない。押さえ切れないものもある。私とて聖人君子ではないのだから」

「ちょっ、ライト!?」

完全にブレ出したWoLにフリオニールは焦りを露にした。その顔は真っ赤なままだ。

「まあ、その気持ちは解らないでも無いよ。僕だってこんなに可愛いフリオニールを見ていたら・・・ね?」

「ね? って!! お願いだから首を傾げながら言うのはやめてくれ!!」

例の角度を発揮したセシルに、フリオニールは赤面したまま俯きつつ叫んだ。

「ねえ、ライト? 僕我慢できなくなってきたんだけど・・・」

「奇遇だな。私もだ」

俯いていたフリオニールの耳に不穏な台詞が聞こえてくる。恐る恐る顔を上げるとにっこり微笑んだセシルと、珍しく微笑を浮かべたWoLが
こちらを見ていた。

「無理は・・・多分しないから安心するといい」

「・・・多分って、何する気なんだ!? ライト!!」

がしっと肩をつかまれたフリオニールは逃げようと身体を捩るが、さすがは光の戦士。

びくともしないまま、後ろからフリオニールの耳元に囁かれる声があった。

「大丈夫だよ。優しくするから」

「優しくって・・・セシル!?」

前門にWoL、後門にセシルで挟まれたフリオニールは、逃げ場所が無い事をいまさらながら悟った。




次の日、腰をさすりながら料理の指示を出すフリオニールと、嬉々としてその手伝いをしているWoLとセシルの姿があった。

その姿はいつも以上にキラキラと輝いて見える。WoLなど周りの光によって殆ど姿が確認できないくらいだ。

この後、ティナが持ってきた衣装でまた一波乱が起こる事も今のフリオニールには知る由もなかった。




Happy? Christmas!!




あとがきへ→

次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ