Rolling Lovers!
□10.笑えない本気
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「浩介さん!」
ラウンジに入るやいなや、奥の方からお呼びが掛かった。
見ると、眼鏡をかけた若い男が、窓際の席から立ち上がって手を振っている。
呼ばれたという事は、コイツが間際なのだろう。
確かに顔に見覚えが…あるような気がしないでもない。
「お久しぶりです、浩介さん」
「久しぶり」
何故か嬉しそうな目の前の男に、覚えていない事を悟られないように、言葉少なに返答する。
元々必要以上は喋らない主義だから、不自然ではないだろう。
オーダーを取りに来たウェイトレスに、コーヒーを注文して、俺は席に落ち着いた。
「荒俣さんから、僕が探してるって急に伝えられて、驚いたでしょう」
「まぁ、そりゃあ」
バッドタイミングというか、忘れてたし、驚くには驚いた。
「僕から連絡が取れれば良かったんですが、わざわざお手紙まで頂いて…こうしてまた会えて嬉しいです」