月華綺單

□2.Clair de lune
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(とはいえ……この寒さ、ちょっと甘く見ていましたかね)

空を見上げ、白い息を吐きながら、男は森に入る前、町で忠告された事を思いかえした。
まず何よりも、森に入る事を強く止められた。
なんでも、自分のように興味本位で来た男たちは、二度と戻っては来ていないそうなのだ。
狼の鳴き声を聞いた者がいるようで、おそらく、町の人間すら踏み込まないのを良いことに、群れの居住区になっているのだろうということだった。
男は、自分は大丈夫だと分かっていたので聞き流していると、町の者たちも諦めたらしく、最後に、日が落ちると更に冷え込んでくるから、防寒はシッカリした方がいいと教えてくれた。

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