Rolling Lovers!

□10.笑えない本気
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慶が間際という男に教えたのは、幸いにも、携帯の番号だけだった。
さすがにその辺りは考えてくれた、という事か。
いや、それなら初めから教えんでくれ。

兎にも角にも、携帯の番号にせよ、こちらへの連絡先を知られている状況では、できるだけ早めに、こちらから対処しなければならない。
満勝にバレないようにしようとした矢先に、結構な大仕事だ。

手始めに、慶に頼んで手紙を渡して貰った。
二人で一回会って話そう、といった内容だ。
電話や言付けでは、うまく事が運びそうもないし、手っ取り早く済ませるにはこの方法が一番だろう。

待ち合わせ場所は、家から二駅ほど離れたところにある、ホテルのティーラウンジ。
こっちで勝手に時間指定までしたのだが、向こうから変更を求める様子は無かった。

さて、一つ重大な問題があった。
俺は、相手の顔を全く覚えていないのだ。
相手が来る前に、こちらが席についていれば、何とでも言い訳は出来るだろうと考え、暇に任せて30分も前に到着した。
が、しかし。

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