神を信じない少年

□不神少年02
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「……どうでもいいけど、何でそっちじゃなく俺の部屋に居るの?」
 不思議そうに顔を歪めて──ただ表情にほとんど変化がないので一般人には分からない──当然のようにレンの部屋に居座る二人を見た。
「いや、確かにナルトにも用があるが、君にも用があるからな。どうやら部屋の状況もこのようになっているようだし、どちらで待たして貰わせても違いは無いだろう。迷惑なら移動するが」
「いや、迷惑では……。でも俺にも用って」
「兄さん、用のある相手ってあいつのことだったの!?」
 何、と言うレンの声は、驚愕の色に顔を染めたサスケの叫びによって打ち消された。レンはキョトンとした表情でサスケを見た。
「知らないで来たのか?」
「兄さんにいきなり行くぞって言われてここに連れてこられたんだ!」
 混乱した顔でレンの問いに律儀に答えて、混乱の原因である兄を睨んだ。そんなサスケからレンは目をそらして窓の外を見た。小さくため息をつくと座っていたベッドから降りて玄関の扉へと向かう。
「どこへ行く」
「ちょっとそこまで」
 突然のレンの行動に不思議そうに尋ねてくる少年に素っ気なく答えて玄関の扉を開ける。見ず知らずの他人を部屋に残して出ていってしまう
レンに驚きが隠せない二人は困ったように顔を見合わせた。



 ◇◆◇

 丁度都合よく雨は止んでいたが、空は今にも雨がまた降りだしそうなほどどんよりと厚い雲に覆われていた。
 部屋を出たレンは扉を静かに閉めると一度天を仰いで、そのままゆっくりと視線を横にずらした。
「レン……言いたいことはいくつかあるが、とりあえず何であいつらが居るのか説明しろ」
 引き攣った表情を浮かべ、蒼い瞳で睨んでくるナルト。しかしレンはそれに全く動じず首を傾げて肩を竦めた。
「知らない。けど、ナルトと俺に用があるらしい」
「お前が上げたのか?」
「いや。不法侵入」
「はぁ?」
 レンの言っていることは的確だが、事情を知らないナルトに通じるはずもない。素頓狂な声をあげてナルトは顔をしかめた。
「あのでっかい方ってたまにナルトの代わりに俺の監視してたよね」
「あーうん。やっぱ気付いてたのか」
「まぁ。でっかい方はともかくうちはサスケはナルトのことは知ってんの?」
「でっかい方……イタチはともかくサスケは知らねぇ筈だけど」
 腕を組んで渋い顔をするナルト。レンは今にも再び降りだしそうな重い雲をじっと見つめた。
「とりあえず、うずまきナル
ト≠演じるなり何なりして部屋に入れば?」
 このままここにいては雨が降りだした時にびしょ濡れになる、という気持ちを込めた視線でナルトを見る。そんなレンの目を見て既にグッショリ濡れているナルトは苦笑した。
「帰ってきてまでうずまきナルト≠ゥ……」
 面倒臭いのか眉間に深い皺を刻み、寄りかかっている壁の向こうにいるであろう兄弟二人組にを見るように視線を移した。
 レンはそんなナルトに対して言葉を掛けるでもなくいつも通りの感情のない瞳でチラと見ただけであった。そして出てきたドアのノブに手をかけて静かに回した。
「あぁ、帰ってきたのか、ナルト。邪魔させて貰ってる」
 音もなくまた部屋に戻ってきたレンの後ろに続くように入ってきた水浸しのナルトを見て、レン曰くでっかい方のうちはイタチが微笑んだ。
 ナルトは密かに顔を引き攣らせた。
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