宝物

□甘く蕩けるお昼前
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「あーけちさんっ」

「はい?何ですか?」

「ん?なぁんにもないよぉ?」

今日が久しぶりの休暇だからと昨日はじめくんを家に泊めて。
お昼近くまでゆっくり寝て。
少し早めの昼食を食べてからずっとこの調子。
楽しそうに名前を呼びながら。
甘えるように背中にすりより、首に腕を回し抱き着いてくる。

「こちらには来てくれないのですか?」

ポンポンと膝を叩くと。

「明智さんっ」

ちょこんと向かい合うように膝に跨がるはじめくん。
本当に可愛らしいですね。

「それでは今日はずっとこうしていましょうか」

腰に腕を回し軽く抱き締める。
喜んでくれると思い言った言葉なのに。
何故か眉を八の字にして。
不安そうに上目遣いで見つめるはじめくん。
どうしたんですか?と髪を梳くように撫でると。

「いいの?」

と泣きそうな声で見つめてきて。
どうしてこの子はこんなにも可愛いのだろうか。
これ以上私を虜にしてどうするつもりなんですか?

「いいに決まっているじゃないですか。私ははじめくんといられるだけで幸せなんですから」

「…本当に?」

「本当です。はじめくんは私といたくありませんか?」

わざと俯き気味で言えば。

「そんなわけないじゃんっ!俺だって明智さんがあるだけでいいんだからっ!」

ものすごいいきおいで否定された。
可愛い可愛い私の恋人さん。
これからもそのままでいてくださいね?
飴でもケーキでも。
好きなものは何でもあげますから。
私の苦いところを甘さに変えて。
あなたの隣にいさせてください。

「はじめくん、愛してます」

「俺も愛してるよ」







END

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