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□これからも…
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今年も後少しで終わりを告げる大晦日の夜。はじめは自宅に居た
居間のコタツに入り、コタツの上に頬を付け、ボケっとテレビを観ている
テレビではフミの大好きなアイドルのカウントダウンライブが放送されており、フミがキャーキャー言いながら楽しそうに観ている。
「…はぁ」
そんなフミを見てため息をつく
「ちょっと、人の顔見てため息つくのやめろよな!!」
はじめのため息に気が付いたフミが軽く怒りながらはじめに言う。
「大体!美雪お姉ちゃんと年越せなかったのだって自業自得だろ?」
今頃草太とよろしくやっちゃってるんじゃないの〜? とニヤニヤしている姿はまるで、どこぞの中年オヤジだ。
はじめはそんなフミに呆れる
「あのなぁ、別に振られた訳じゃなくて俺から断ったんだよ」
そう。美雪と草太と遊園地のカウントダウンイベントに行けなかったから落ち込んでいる訳では無い。大体、美雪に誘われたのに断ったのははじめの方なのだ。
一年の締めくくりは大好きな人と過ごしたかった。だから断った
それなのに…
(当の明智さんが居ないんだもんなぁ…)
はじめが遊園地よりも優先した大好きな恋人は、大きな事件で警視庁に泊まり込み。
当然一緒に年越しをする事も不可能になってしまった
「はぁ〜〜。事件のばかやろー…」
うなだれてコタツの上に頬を乗せる。
ふいに横に置いてある携帯電話が視界に入ってきた
携帯を手に取り、開いてみる。
ディスプレイの時計を見れば今年が後10分で終わる事が分かった
今年がもうすぐ終わる…
それなのに着信履歴もメールさえも入っていない…
「ちぇっ。薄情だよな」
明智が電話をする暇さえ無いくらい忙しいのは分かっている。
だが、せめて電話が出来ないならメールくらい送ってくれても良いじゃないか!
(だんだん腹立ってきた!)
はじめは自分からメールをしようかと考えたが
それをやめ、携帯を勢いよく閉じた。
「明智の薄情もんっ!!」
居ない相手の代わりに携帯電話に文句を言い、コタツの上に バン と置く
〜〜♪♪〜♪〜〜♪♪
携帯を置くのとほぼ同時に携帯が鳴った。
聞き覚えのある、この着うたは間違い無くあの人で。
「明智さんからだ!!」
ディスプレイを確認すると《明智健悟》の表示
はじめは鳴り続ける携帯を手に取ると勢い良く居間を飛び出した。
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