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□sweet surprise
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まだまだ寒さの残る2月の朝、金田一一は布団の中で微睡んでいた。
眠ってはいないのだが、完全に覚醒はしていない、そんな状態。
(う〜ん…この瞬間が一番幸せだよなぁ〜)
先ほどから何度か母親が起こしに来ているのだが、せっかくの休日にこんな早い時間に起きるなんて冗談ではない。と、こうしてグダグダしていた
(今日は休みだし、昼過ぎまでこうしてよ〜)
『…く…ん』
暫く幸せ気分を味わっていたのだが、ふいに誰かに名前を呼ばれた気がした
(何だ?また母さんか?)
『はじめ君』
(明智さんの声?ああ…夢か。)
布団の中でぬくぬくしながら恋人の夢を見られるなんて幸せだなぁと思っていると更に声が聞こえてきた。
『そんなに寝こけていると元々少ない君の脳が溶けて無くなってしまいますよ』
(これ!!夢じゃない!?)
夢にしてはリアルな声に驚いて、ガバッと起き上がると目の前に予想もしなかった人物が立っていた。
「あ!明智さん!?何で居るの!?事件は?」
と言うのも、明智はお正月を過ぎた辺りから今までずっと事件に掛かりっぱなしで会う事もままならず、連絡すら殆どする事が出来なかった。
「ようやく昨日事件が解決したんですよ。後は事後処理だけなので、剣持君に指示を出して君に会いに来たという訳です」
元気でしたか?と微笑みながらはじめの横に腰を下ろす。
「ん〜。元気だった〜」
そう言いながら再び布団へと潜り込んで行く
明智はそんなはじめを見て一つため息をつくと、勢いよく布団を剥ぎ取った
「さあ!起きて着替えて下さい!!出掛けますよ」
「出掛けるってどこに?」
「箱根旅行です」
「りょこおぉぉ!?」
布団を奪われ、寒さで身体を縮こませながら問い掛けてくるはじめにサラリと返せば素っ頓狂な声を上げる
「ええ。ですから急いで着替えて下さいね。私は下で待ってますから」
そう言うと明智は部屋を出て行った。
部屋にははじめが一人取り残されてしまった
「え?箱根??りょこ?え?」
未だに訳が分からない…
久しぶりに会えたと思ったら「箱根旅行に行きます」だ。
旅行なんて急にも程がある…
「でもまあ、」
一緒に居られるなら何でもいいかもしれない
「よっし!着替えるか!」
はじめは勢いよく立ち上がり箪笥の前まで行くと、お気に入りの洋服を引っ張り出した。
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