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□これからも…
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「もしもしっ!!」

自分の部屋に入るのと同時に通話ボタンを押す
『ああ、良かった。間に合いました…はじめ君ですか??』

声を聞いた瞬間に思わず笑顔になってしまう。ハッとしたはじめは急いで表情を先ほどまでの怒った顔に戻した

『もしもし?どうかしたんですか?』

一向に応答の無いはじめに心配したのか、明智が声を掛けてきた
しかしはじめは答えようとしない。

『はじめ君?』

「………………遅い。」

『は?』

「遅いって言ったんだよ」
少し怒ったようにはじめが言う

「年明けるまで連絡しないつもりかと思ったぜ?」

『すみませんでした…色々たて込んでしまって、一段落付いてからと思っていたらこんな時間に…』
明智が申し訳なさそうに答えてきた。

「忙しいんなら別にメールだって良いのに」
本当は声が聞けて嬉しいのに強がってしまう

『何度もメールをしようかと思ったんです。ですが一年の最後の時に声だけでも聞きたくて』
本当は君と過ごしたかったんですけどね、と明智が寂しそうに笑う。
それを聞いていたはじめはだんだん自分が情けなくなってきた

(何やってるんだろう…俺)

「ごめん…俺、明智さんが忙しいのは仕方ないって分かってたのに駄々こねた…」

事件が起きるのは明智のせいではない。
本当は明智だって出来ることなら一緒に年越しをしたいのだ…

本当にごめんね と謝ると電話からフッと笑い声が聞こえてきた
『いえ、元はといえば悪いのは私の方です。それに、可愛い君の我が儘ならいつでも大歓迎ですよ』

いつもなら気障なセリフだとバカにするような明智の言葉が素直に嬉しかった。


『所ではじめ君、時計は見てますか?今年も後30秒程で終了しますよ?』
言われて時計を見れば時刻は23時59分。

「あっ、本当だ!明智さん、今年は色々世話になったな!来年も宜しく!!」

『本当に今年はお世話しっぱなしでした。来年の君の目標は少しお利口になる事ですね』

「ちぇ〜。なんだよ〜」
いつものイヤミにむくれると『冗談ですよ』と笑われた。いつものやり取りが、何故だか今日は楽しくて、はじめもケラケラと笑った。
しばらく笑いあっていた2人だが、ふいに明智が黙り込んだ

『今年は、君と恋人同士になる事が出来て本当に幸せな1年でした…はじめ君。来年も、再来年もずっと君を愛してます』

「明智さん………」

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