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□ねこ。
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「そりゃ狸飼ってたら楽しいんじゃねぇの?」

「おや、まだご機嫌斜めなんですか?」

斜めにしたのは誰だよ と文句を言おうと、仰向けになって明智の顔を見ると目が合った。
その表情があまりに優しく綺麗で、はじめは不貞腐れていた事がなんだかバカバカしくなってしまった。


「別に…もう怒ってないよ」

恋人の笑顔に絆されてしまった事が少し悔しくて、ぶっきらぼうに答える。
そんなはじめを見ていた明智が困ったようにクスリと笑った

「まったく…君という人は、そんなに可愛らしい態度をされると、本当に猫のように私の側に置いておきたくなってしまいますよ?」

「首輪でも付けて?」

「良いですね。買ってきましょうか?」

「やめて下さいニャー!ご主人さま〜」

はじめが笑いながらふざけると、明智が「よしよし」と言いながら両手でワシワシと頭を撫でてくる。
その感覚が気持ちよくてはじめは目を閉じた。


しばらく頭を撫でていた明智の手がピタリと止まり、どうしたのかと目を開ける。
すると目の前に明智の顔が迫って来る

「ん…」

啄むような口付けを交わしていくと、どちらともなく次第に深いものになっていく

「ぅ…ふぁ…」


明智の唇が離れるとどちらのものか分からない唾液がツゥと銀の糸の様にはじめの口を伝った。

「アンタ…猫にこんな事するヘンタイなご趣味があんのかよ?」


酸欠で息が荒く、赤い顔で明智を見上げる

「まさか。これは君専用ですよ」

そう言いながらはじめの濡れた唇を指で拭ってやる。
そのまま見つめ合っていると突然、何かを思いついたのか明智が「ああ、」と声を上げた


「やはり君が猫だと困りますね」

「何だよ急に?」

未だに自分の膝の上に頭を乗せたまま、怪訝な面持ちでこちらを見てくるはじめの耳元に口を寄せて囁いた。

「さすがに猫にこれ以上の行為を要求する事は出来ませんから」

言葉の意味が分からないのか、しばらく固まったままだったはじめの顔が段々真っ赤になっていく。

「っ!!スケベ!!もう知らねぇっ」


恥ずかしくてそっぽを向けば、明智が可愛いとクスクス笑いながら頭を撫でてくる。

明智の指を頭で感じながら…ずっと一緒に居られて、こうして甘やかされながら暮らせるなら猫も悪くないかも…

と、はじめは少し感じていた。







end.
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