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□拍手
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   side A


仕事から帰ると恋人がベットを占領して、気持ち良さそうに寝息をたてていた。

「泊まりに来るとは聞いていませんが…」

事件が続き、会う時間をなかなか作る事が出来なくて…けれどもいつでも会いたいからと明智ははじめに部屋の合い鍵を渡した。はじめはそれが嬉しかったのかそれ以来頻繁に部屋に遊びに訪れるようになった。

「うむ〜…あけちさ…」
「はい、何ですか?」

どんな夢を見ているのだろうか?枕を抱きしめながら自分の名前を呼んでいる
なんて可愛らしいのだろうか…
未だ夢の中にいる恋人の長い髪を梳きながら自分は末期だな と苦笑する。
初めて彼と会った時はこんな関係になるとは想像していなかったのに、何度も会って話をする度に自分の知らない彼を知り、気が付いたらどっぷりハマっていた

「君を…私だけのものにしておきたいと言ったら…笑いますか?」

閉じ込めて、誰にも触れさせたくないと言ったら…君は何て言いますか?

「自由奔放な君の事だから捕まえておこうとしても、きっと風のように私の手をすり抜けて行ってしまうでしょうね」

それでも良い。
それが君の魅力だから…

だけど、今だけは…
「君を独り占めしても良いですか…?」





「ん…」

固く瞳を閉じたままの少年の唇にキスを送り、寝室を後にしようとすると袖をクンと引っ張られた。

「はじめ君?」

それはまるで行かないで、俺はここに居るよと言っているかのように思えて。


「本当に君には一生かなわないですね」


苦しい時、必ず君は助けてくれる。
自分は君の救いになっているのだろうか?
それは分からないけれど、君に危険が近づく時は必ず守りぬこう。

それが今の自分に出来る事だから…



「ありがとう…はじめ君」

おでこに口付けをするとはじめが嬉しそうに微笑んだ。







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