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□雪、こんこん
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どうもはじめの事になると甘くなってしまう。
これも惚れた弱みというやつだろうか?
「ああ、そうだ。牛乳を切らしていたんです」
布団を捲り起き上がると寝室を出て行こうとするはじめに聞こえるように、少し大きな声でそう呟いた。
「へ?」
「牛乳が無いとはじめ君がカフェオレを飲む事が出来ないですね…」
状況が良く分からないはじめは、間抜けな顔でこちらを見ている。
そんなはじめに最後の一手を投じる事にした。
「よろしければ買いに行きませんか?」
ニコリと微笑みかけると相手の表情が見る見るうちに明るいものになり、今までに聞いた事の無いような明るい声で
「うん!!!」
と返事を返してきた。
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外に出ると、辺り一面が白で覆い尽くされていた。
日曜の早朝の為、人っ子一人見当たらない。
道路にはすでに雪が積もっており、まだ誰にも侵されていない真っ白い雪の道がどこまでも続いている。
「へっへ〜♪一っ番〜!」
明智の少し先をはじめが歩く。
まだ何も描かれていない画用紙のような道に、自分の足跡を付けながら楽しそうに歩いている。
流石にこの天気で、駅前まで行くのは抵抗があったので、近所のコンビニへの道を2人で歩いて行く。
(それにしても静かですね…)
雪は相変わらず降り続き、積もった雪が全ての音を吸収していく。
人も車も全く通らない。
何だか、今この瞬間、この世界には自分とはじめの2人しか存在していなんじゃないか?
と勘違いしてしまいそうだ。
(それも良いかもしれない…。)
大切な人と2人きり…
こんな素敵な事は無い。
「明智さ〜ん!早くしろよ〜!先に入るからなぁ」
考え事をしながら歩いていたせいか、気が付くと既に目的のコンビニの近くまで来ていた。
先を歩いていたはじめは店の前で手をブンブン振って明智を待っている。
小走りではじめの側に行き2人でコンビニに入る。
いつも購入している牛乳と比べると格段に安いが仕方がない
棚から牛乳を一つ手に取るとお菓子を見ているはじめの隣に立つ。
「ねぇ、これ食べたい」
沢山並べられているお菓子の中からポテトチップを手に取るとニコリとこちらに差し出してきた。
「買ってv」
「…全くιそんなものばかり食べているとブクブク太りますよ。」
「成長期だから大丈〜夫ですぅ〜。」
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