犬夜叉短編其の弐

□逢いたくて、
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「逢いたい…蛮骨…」



心の中に巣喰った淋しさは退くことをしない。
曇った視界の中に貴方が居てくれたらと思うと切なくなる。



「……会いたいよ…逢いたい」



泣きたいほど切なくて、悲しいのにね。泣きたいのに…涙は出てこない。
そのかわり、泣いているのはあたしの心。
ありきたりなことを言っているのかもしれないけれど、本当にその言葉通りで。

にぎりしめた右手の掌に爪が食い込み、赤い血が滲み出た。



「どーして、どうして傍に居てくれないの?」



嗚呼…貴方の元へ往けたなら私はどんなに幸せだろうか。
今在るものなど、何もいらないから。望まないから。


一一一一貴方に、逢いたい。



「…違う世界に逝けば、逢えるかな?」



沈み始めた夕日と、青く澄み渡った空を見て呟いた。叶うはずもない願いは、誰の耳に届くわけもなく…誰に理解されるわけもなく、まだ肌寒い風に飛ばされていった。

流れる雲を見るとさらに淋しさが込み上げてくる。



「…どうしようも、ない…」



自分の心を嘲笑い、目に映る青を追い払うかのように目を閉じた。

次に目を開けた時には、この想いが雲と共に流れていることを信じて……。




一一一一一一一一一一一

青空を見てたら無性に蛮骨に逢いたくなりました。



20090215

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