刀*語

□卯の花月の法螺
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「……右衛門左衛門よ、」

「何だ、鳳凰」

「おぬしに一つ頼みがあるのだ」

「頼み…? 何だ、それは」

「我と別れて欲しい」

「え…」

「もう駄目なのだ。我はおぬしとはやって行けぬ」

「…………」

「故に別れて欲しいのだ」

「………そうか」

「受け入れてくれるか」

「…言わず。お前がそう言うのならばもう何も言うまい」

「そうか」

「では、さらばだ鳳凰」

「ああ。さらばだ。右衛門左衛門、」




















「待て待て、右衛門左衛門っ」

「…ッ……!?」

「おぬし今日が何の日なのか知らぬのか?」

「、…何の日だというのだっ……私にはそんなもの、関係などなッ…」

「今日はエイプリルフールだ」

「…………は?」

「今日は4月1日、エイプリルフールだ。今日一日だけは嘘を付いても良い日だ」

「…………」

「嘘を付く日だ」

「…なら……さっきの、お前の言葉は……」

「真っ赤な嘘に決まっておろう」

「!!!」

「からかってすまなかったな、右衛門左衛門」

「このっ…!」

「だから泣くでない」

「〜〜〜ッ!!!」

「すまない、よもやおぬしが本気にするとは思っていなかった」

「あんな事を言われれば信じざるを得ないだろう!!」

「すまない、少しからかおうと思っただけだったのだが」

「許さず…!!!」

「すまぬ、右衛門左衛門」

「わ、私が、どんな思いでっ……お前の言葉を聞いていたと思っている…!」

「右衛門左衛門…」

「ほ…本当に捨てられたかと……」

「そんな筈がなかろう! 我がおぬしを捨てるなど…! 万に一つもない!」

「ならば最初からあんな質の悪い嘘を吐くな!」

「それはすまなかった」

「………なぁ、鳳凰よ、」

「うん?」

「これからも……側に居てくれるか…」

「右衛門左衛門…」

「………っ…」






























卯の花月の法螺
(それは出来ない)
(…ッ…!!!)
(…すまぬ、嘘だ)
(、この…っ!!)
(すまない、本当にもうこれで止める)







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