刀*語

□早朝の悲劇(一歩手前)
1ページ/2ページ



※ある意味ホラー。








そう、あれは清々しい晴天の朝だった。
初夏に近付いてきた陽気の良い、だが風も少しあって心地の好い朝だった。
確か6時過ぎくらいの頃だ。

私はいつもの様に仕事の為に通勤していたのだ…地元の駅まで徒歩で行き、そこから電車に乗る為に。
駅に早く着いたので何ととなくプラットホームで本を読んでいた。
決まって乗る車両に定位置を作っていた為にホームの極端に隅の方、まぁ当たり前だが立ちながらの読書をしていた。
普段通りの光景だったのだ、その時までは。


不意に、聞こえたのだ。
あの音が。


滴る様な――いや、あれはそんな潔い音ではない。
何かが地面に叩き付けられた様な、そんな音だった。
最初は私の左手側から聞こえた。
気の所為だと思った。
否、そう思いたかったのだ。
しかし、続け様に、今度は私の右手側に聞こえてきては錯覚だった、などとは到底言えないだろう。
びちゃ、びちゃっ…と、今度は二回だ。
流石に放っておく訳にはいかない。

そこで私はやっと辺りを見渡した。
左右には誰も居なかった。
何も無かった。
しかしそれではおかしいだろう。
明らかに落下してきた様な音だったのだから私はそこで見てしまった。


上を。


見上げてしまった後直ぐ様、物凄く後悔した。
朝日を一様に浴びるその群集を見てしまった事に私は恐ろしくなった。
気を抜いたら叫び出しそうになる程に。
否、実際、私は人知れず声無き声で絶叫していた。






























電線に群がる鳩の群
(…つまり、おぬしの話を整理するとだ。おぬしは危うく鳩から爆弾を投下されかけていた、と。こういう訳だな)
(外れず…! ……お、思い出しただけでも悍ましい…!(ぷるぷる))
(よくその状況で被爆しなかったな…不幸中の幸いという奴か)
(あれ以来私の中で鳥は憎悪の対象になった)
(それを我の前で言うのか)







次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ