復活連載
□13.準備
1ページ/9ページ
プルルルル…プルルルル…
カチャッ
『Pronto?』
「い゙よぉ、×××。ママンだぁ」
例の会議の後。
オレが×××に電話をすると、アイツは凄く嬉しそうに受話器越しで笑っていた。
まるで黙って出て行った事は全く引摺っていないかの様な態度。
これでオレはどれだけ×××を傷付けているんだろう。
コイツを心から愛しているのに。
「元気そうだなぁ。オレも仕事頑張ってるぜぇ」
『ママン、今度は何時帰って来るの?』
「…ごめんなぁ、×××」
今度は何時帰って来るのか、と。
鈴が鳴る様な声音が、寂しさを滲ませているのが分かる。
この声を聞くといつも胸が痛む。
オレのエゴで毎回×××を振り回しているのだから、アイツの願いは出来る限り応えてやりたい。
だが。
今回は──…いや、今回も。
アイツの願いは聞き入れてやれなさそうだ。
「オレ、ここ暫くは帰れそうにねぇ。大きな仕事が入っちまってなぁ…会えるのはずっと先だ」
『そっか…でも、お仕事だったら仕方ないよね』
「×××…」
『───…お仕事頑張って。ママン、』
「…ああ゙、分かってる。じゃあなぁ」
受話器を置いて、再び静まり返る部屋の中溜息を付く。
オレ以外の誰も居ない静かな自室は、アイツの哀しさを映している様で苦しかった。
今度会えるのは、ザンザスの復讐が終わった後。
それまでは、どうか元気であってくれ。
何時か、オレは必ず───…
───お前の、本当の願いを叶えてやる。