復活連載
□15.ヴァリアー
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「…………ん……あれ……」
「ツナ!」
「10代目…!」
「やっと起きたか」
目が覚める。
土の感触か、病院独特の消毒液の匂いがすると思った。
だが意外にもオレが眠りから覚めた時あったのは、友人と家庭教師の顔、そして自分の部屋だった。
「山本…獄寺くん……それにリボーン……」
「10代目…ご無事で何より……!」
「良かったな、てっきりもう起きねーんじゃねぇかって思ったぜ」
「…ザンザス、は……?」
オレがそう呟くと、リボーン以外の2人が表情を強張らせる。
「リング争奪戦は……ザンザスは、どうなったの…?」
「10代目…」
「…争奪戦は終わったぜ。んで、アイツ等はあれから直ぐに帰って───…」
「───違う」
あの争奪戦の後、オレが気を失う直前に。
オレは目の前に居る3人同様ちゃんと見ていたんだ。
ザンザスや彼の守護者達の会話を。
「…なぁ、リボーン」
「…………」
「ザンザス達の処分は…どうなるの?」
「今はヴァリアーに調査に入って検討中だそうだ。今後は9代目と家光で決めてくらしいぞ」
「ザンザス達って、本当に悪いヤツだったの?」
ザンザスは、自分の部下をわざわざ呼び集めてまで、彼等に謝っていた。
自分のエゴに付き合わせてすまなかった、と。
そして彼の幹部達も。
彼の為に命を懸けて守ろうとして、彼が生きていた事に涙を流して喜んでいたのだ。
本当の悪だったら、きっとそんな事は言わない。
そんな事絶対にしない。
「なぁ、リボーン、教えてくれよ。ザンザス達は…」
「ツナ…」
「頼むよ…もうオレ、分かんないんだよ……!」
どうして自分を偽り続けたの
どうしてそんなに堪えられたの
どうして、あんな力を手に入れようとしたの
オレもザンザスも、仲間が居るだけで充分だった筈なのに。
仲間までも傷付けて喪いかけて、そんな事をしてまで力を手に入れる必要なんてなかった筈なのに。
きっと彼は優しい人だ。
なのに何故自分を偽ってまで冷酷非情な仕打ちをしたのか。
「オレは…本当に正しい事をしたの?」
ザンザスを悪だと決め付けていた。
彼の本心に気付こうとしなかった。
こちらが勝った事に喜んで笑っていられた自分が浅ましい。
辛いのはオレだけでなく、彼も同じだったのに。
仲間を誰一人喪いたくなかったのは彼も同じ想いだった筈。
なのに。
この眼前の3人から、答えが返ってくる事はなかった。
ただ下の階から聞こえてくる幼児の奇声に、嫌でも平和を感じる事しか出来なかった。