おおきく振りかぶって 【アベミハ】

□阿部VS田島
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「三橋、おせぇな。」 オレは、愚痴をこぼした。

だって、アイツが着替えるって言って、部室に入ってから20分ぐらいたつ。

いつも、歩くのは遅いわ着替えるのは遅いわで、部員全員に迷惑をかける。
そんでもって、
「ご、ご、ごめん、…………(じわっ〜)」
と、最後には泣く。


だから、今日は部員みんなは、先に帰って貰った。(みんなも相当疲れてたし。)

そんでオレは、部室の前で、かれこれ20分三橋を待ってる。

「たっく、早く出てこいよ。三橋ぃ。」

小声でそんなこと言っても、届かないのは知ってる。

でも、今のオレは何故か三橋に、声をかけることが出来ない。ましてや、部室に入って、三橋の様子を見ることも出来ない。

何でなんだろう。オレは理由を色々と考えた。けど答えは見つからない。
分かったのは、この感情が精神的なものからきてるってこと。

そのとき一瞬だけ三橋の着替えてるとこを、想像してしまった。
オレの顔があつくなる。
「何やってんだぁ?オレぇぇ!」

自分が何でこうなのか、誰かに教えてほしい。
でも、そんなこと、恥ずかしスギて言えるわけがない。

オレは深い溜め息をはく。


すると、

「お、阿部、まだいたのか。」

茂みから声がした。逆光で、ハッキリとした姿は見えない。でも、声で誰なのかは分かった。

そいつは、背が高くて、坊主で、負けず嫌い。そんでもって、西浦野球部のキャプテン、花井 梓だった。
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