ひより
□理性は不覚なる未遂事故
1ページ/1ページ
「曽良君の口は減らず口だよね」
「…いきなりなんですか」
うんうん、と頷いて見せると曽良君は呆れ顔。
曽良君はどんな顔をしても綺麗だから女の子の私としてはずるいことこの上ない。
「曽良君、ドSだもん」
「だからなんです」
「曽良君の曽良はSの曽良だもんね」
「いい加減にしないと殴り飛ばしますよ」
「そのままそっくりお返ししてやる」
「地面と仲良くさせてあげましょうか」
「泣きながらごめんなさいって言わせてやる!」
「無理ですよ、あなたじゃ」
ふう、と息をついた曽良君は読んでいた本をパタンと閉じる。
私は目を見開いて口を開いた。
「何、曽良君」
「なにがです」
「私、あの」
「さあ、ともに気持ちよくなりますか?」
無意味な理性など捨てて。
ニヤリと笑った曽良君の顔は、やっぱり恐ろしいほど綺麗だった。
理性は不覚なる未遂事故
(不確かな本能はあなたの唇に)
(確かな理性は快楽への独占)
080201
とりあえず曽良君がドSだと言い張る