物語置き場

□オーガストリターンズ
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江戸の中でも屈指のボリュームを誇る一大テーマパーク、大江戸遊園地。

新八はそのゲートの前まで歩いていた。

「8時に入口…ここで合ってるかな」

銀時も神楽もいない。



     オーガストリターンズ



発端は何の前触れもなく届いた葉書だった。

差出人の名前はなく、ただ集合時間と集合場所を書かれた単純な呼び出しの手紙。

普通だったら捨てるところだったが、同封されていたのは遊園地の1日フリーパス。

改めて宛名を確認すると、そこには確かに「志村新八様」と書かれている。

(…バレたら、盗られる)

危険を感じた新八は、万事屋はもちろん姉にも見せずにまっすぐやってきたのだった。


入り口から見える大きな時計が示すのは7時55分。

さらに歩みを進めると、そこには見覚えのある青装束が待ち構えていた。

「お、誰かと思ったらニンジャーホルスタインじゃねーか」

「ぜ…全蔵さん!」

そこには服部全蔵の姿が。

前回…前回見たのがいつか、という問題もあるが…見たときと同じ服装だ。

どこかで会ったな、とどうでもいい感慨にふけってしまう。

デジャビュというより事件がある度に見かけているだけのような。

(…でもよく考えたら、僕と全蔵さんって忍者の騒ぎ以外に顔を会わせたっけ?)

何か忘れている気がする。

新八は思わず頭を抱える。

それが今回の謎を解く鍵になるような、と。


答えはあまりにもあっさり現れた。

入場門に現れた男を見たとき、新八の予想は嫌な確信へと変わった。


「「…おかしくね?」」

新八と同時に呟いたのは、予定時間を30分オーバーして現れた指名手配犯。

「また会ったなァ。そこのガキは3回目か」

躊躇いもなく、いつか船で見た格好のまま、高杉晋助は煙管をふかす。

「わかるぜ。これ、だろ?」

ひょいと懐から取り出したのは新八に送られたものと同じ葉書と遊園地のチケット。

「まァこうなったからには楽しんで行こうじゃねェか」

「「ちょっと待てやァァ!」」

叫び声に自分以外のものが混じっていることに気付いた新八は同時に少しほっとした。

3人が振り返ると声の主は少し遠くで手を振っていた。

「何これ!?あのいつかのメンツ?半年ぶりになんの?ってかなんで?」
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