物語置き場

□FATALITY
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朝の5時に目が覚めた。

なんてこった。

今日は日曜日だったはずじゃないのか?

寝ぼけ眼でカレンダーを目にする。

「珍しいこともあるもんだ…」

呟き再び布団にもぐりこむ。

オレが起きる時間じゃなさそうだ。

その時ドアが小さく開いて男が顔を出す。

茶色が混じった灰色の髪の男。

色素の薄い相手の緑の目にはぼさぼさの髪が映る。

この世界には珍しい金髪と黒目。

…うん、今日もオレは生きているみたいだ。

「おはようさん。いくらサクスでも寝飽きたみたいやなぁ」

「ジョークも程々にしろよ、テイジャ」

オレは髪をかきあげ、目の前の男、テイジャに言う。

「まだ5時だろ」

「…サークスくーん、そっちこそ冗談は程々にせぇや」

テイジャが引きつった顔で小さく笑みを浮かべる。

…オレ、なんか変なこと言ったか?

「5時は5時やで。それは認めるわ。けどな、今日は月曜や」


…なんですと?


「せやから、お前さんは昨日1日中寝とったっちゅーこっちゃ」

わかったか?というように緑の目がオレを見つめる。

「…っええええええええええ!!!!!?????」



第1章 第1話



慌てて起きると頭がガンガンする。

それを本日オレは身をもって思い知った。

「なんで起こしてくれなかったんだよ!テイジャのバカ!」

「ごたごた言うなやアホォ!いつも起こすと怒るやないか!」

それは7時やら8時にお前らが来るからだ!

文句を言うのは後回し。

仕事服に着替えること2分。

『先生の部屋』に駆け込むと2対の目がこちらを向く。

「珍しいな。寝飽きたか」

肩ぐらいまで伸ばした赤髪に黄色の瞳。

テイジャと同じ言葉を、しかし吐き捨てるように言うムカつくこいつはレイ。

「おはようサクス!今日は早いね。おれとほぼ同時なんてさ」

こちらは蛍光ペンで塗ったような短い黄色の髪に紫の瞳の青年。

朝からハイテンションなオレの仲間、パキム。

…ちなみにオレ達の中ではパキムがだいたい一番早起き。

「女衆は朝の準備に行ってるよ」

パキムの言葉に微笑してテイジャが答える。

「ほんなら、俺らも行くことにするか」

「そうだな…でも」

レイの明るい黄色の目がオレを向く。

「サクスは来るな。どうせ邪魔だ」

「あんだとぉ?」

「ボクは本当の事を言ったまでだ」

パキムと共にレイは部屋を出て行く。

その姿をオレは最大限に睨んでやった。
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