誰にも言えない秘密

俺は戻る場所が無い

決着をつけて 思い出した 
掌を紛い物の太陽に翳し、自分の身体が『有る』ことが酷く異様に感じた

終わったら…消えてしまう

それでも、皆と一緒に歩んだこと 無駄にしたくなかったから…

最後まで笑顔でいよう 


消えていく瞬間

皆の笑顔を忘れない様に焼きつけて

星を抱いた少年の夢


クリスタルが輝いた 俺を皆の元へと帰してくれた

光り輝く本物の太陽 美しい海 旅した大地  

お帰り お帰り 皆が俺を祝福してくれる


時は経ちもう一度星に還る そう、思っていた

随分と特殊な存在になってしまったらしい俺の存在は、星に戻ることなく
何度も再生を繰り返し、それでも完全に還ることが出来なかった

何年 何百年 何千年

沢山の人が生まれて死んで

時折地上に姿を現して、力の無い者達を助けたり

しかしある時を境に、俺の居る場所が急激に力を、バランスを崩した

『星が…泣いている』

星の力を借りて実体を作っていた俺は、稀にしか出られなくなってしまう
どこかの誰かが星の力を悪用しているらしい

そこからの記憶は曖昧だ 起きたり 眠ったりの繰り返し

誰かが泣いている声がして、久しぶりに力も集まっていたから俺は外に出た

そうして俺は見つけた


『…クラウド?』


他人の空似かもしれない
もしかしたら全くの別人かもしれない

それでも、彼は…クラウドだった
恐らく自分が知っているよりも、かなり幼い

居世界を旅した際に聞いていた彼の過去の話と、あまりに酷似した出来事が続く


神羅 魔洸 ジェノバ 


『セフィロス…?』


銀色の髪を持つ青年

彼を見つけた時 既に歯車は狂い出していて

一人では彼の手を取ることも叶わず


‥誰か…


強く願った瞬間、ずっと静かにしていたクリスタルが輝いた


引かれる様に落ちてきた光が9つ

そのうちの5つは既に遠くに消えてしまった
まるで流れ星の様に

俺は一生懸命走って残りの四つの流れ星を捕まえる


そうして気付く その流れ星はかつての仲間が手にしていたクリスタルに似ていることに


流れ星は茫然としている間に掌か毀れ落ち、俺が居た場所に吸い込まれる様に落ちて行く

残った一つ


『…ジタン?』


名を呼ぶと、クリスタルが応えるように輝く


『ジタン…頼む、あの子を守って。クラウドが泣かない様に。』

強く願って手を離す

クリスタルは残りの三つを追うように落ちて行く



不意に背後から光を感じ振り返ると、そこには懐かしい人が立っていた

「…君は、ここに居たのだな」

光の戦士と言う名前に相応しい青年
「ライト」
「彼等は本来還るべき道から逸れてしまった」
「俺…皆を‥」
「二つのクリスタルが共鳴し。大きな願いを叶えようとしている、と。彼女の声が告げた。」
「二つ?」
「ああ‥そうして、彼等は引き寄せられるように再び集うだろう」
「引き寄せられる?」
「ああ。そして、彼等が共に歩むことで道は大きく変わるだろう。」

不意に物凄い眠気に襲われ、その場に蹲ってしまう

「眠ると良い。無意識とは言え、君は大きな力を使った」

そのまま意識は星の一部となり、再生の時間をゆっくりと刻み始める

「ティーダ‥皆を頼む」

そうして光の戦士は自らの世界に戻る為、踵を返す






小さな頃流れ星に願いを込めた
流れ星に願いを叶える何て出来なくて

それでも願わずには居られなかった




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